否定から始まる癖が、心と身体を固めてしまう理由──共感を取り戻す小さなヒント
- タナカユウジ

- 9月5日
- 読了時間: 4分
否定から始めていませんか?
日常の会話やネットのやり取りで、こんな場面に出会ったことはありませんか?「でもさ」「いや、それは違う」と、とりあえず否定から入る。そんな癖は、無意識のうちに身についている人も多いものです。
一見すると頭が切れる人に見えますが、この「否定から入る」習慣は、自分自身の心や身体を固めてしまう一因になることがあります。
ここでは“否定からの一言”を切り替える小さな工夫を紹介します。
心理学から見る「否定の快楽」
心理学の研究では、否定は脳の「快楽系」を一瞬刺激すると言われています。
相手の意見にケチをつけることで、まるで自分が優位に立ったような感覚が得られるのです。
これは短期的には心地よくても、長期的には「共感回路」を働かせる機会が減り、他者や自分に共感しにくくなる傾向があります。
例えばネット上のコメント欄を覗くと、「揚げ足取り」や「反論合戦」が繰り広げられているのをよく目にします。
一瞬の満足感はあるものの、そこから新しい関係やアイデアが生まれることは少なく、むしろ閉塞感を強めることが多いのです。
結果として、
人間関係がギスギスしやすい
ネットのやり取りが攻撃的になりやすい
自分の中の柔らかさや余裕が失われやすいといった悪循環につながることがあります。
身体と「否定癖」の関係
否定から入るとき、身体は知らず知らず「防御モード」になりやすいものです。
呼気が短くなる
肩や胸のあたりが緊張する
顎や顔の筋肉がこわばる
このような反応は、心理学的には「交感神経の優位」として説明されます。
危険から身を守るための反応が過剰に働き、結果として相手の言葉や状況を受け入れにくくなるのです。
整体の場面でも、否定的に構えている方は身体がゆるみにくい印象があります。
一方、「まずは受け取ってみよう」という姿勢を持っている方は、呼吸が深まりやすく、身体も楽に感じられることがあります。
実際に、雑談を交えたり安心感を得た瞬間に、肩の位置が自然と下がることも少なくありません。
つまり、共感的な姿勢はそのまま身体の安心につながる場合があるといえるでしょう。
今日からできる3つの工夫
会話で肯定ワンクッション「そういう見方もあるね。ただ私は〜」と、一度受け止めてから意見を伝える。これは相手への思いやりであると同時に、自分の心を柔らかく保つトレーニングにもなります。
自分への声かけを変える「今日はここまでしかできなかった」→「今日はここまでできた」と置き換える。セルフ・トークを肯定的にすると、自分への信頼感が少しずつ回復していきます。小さな肯定は積み重なるほど、大きな安心感につながります。
身体から入るリセット以下の簡単なステップで防御モードを和らげてみましょう:
いったん3秒静止する
吐く息を長めに(目安:4拍吐いて2〜3拍吸う)
足裏の接地を感じながら立つ
呼吸と重心の感覚を整えるだけでも、否定的な思考が和らぐことがあります。
無理なくできる範囲で取り入れてみてください。
まとめ:小さな肯定が人生を広げる
否定癖は賢さの証ではなく、人生を狭める習慣です。
まずは一度「受け取る」ことから始めてみましょう。心がやわらぐと、身体も自然にゆるむことがあります。
小さな共感の積み重ねが、安心できる人間関係と整った身体につながっていくかもしれません。
「否定する前に一呼吸置く」──その小さな切り替えが、思っている以上に日常の空気を変えていきます。
みどり整体院(中野区中央5丁目)では、心と身体を一緒に整える視点を大切にしています。整体の場を通じて「まず受け取る」姿勢を取り戻すお手伝いをしています。ご相談はお気軽にどうぞ。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断や治療を意図するものではありません。体調や不安が続く場合は、医療機関などの専門家にご相談ください。
参考文献・参考資料
Baumeister RF, et al. Bad Is Stronger than Good. Review of General Psychology, 2001.(ネガティブ情報がポジティブ情報より強く働く傾向について)
Suler J. The Online Disinhibition Effect. CyberPsychology & Behavior, 2004.(ネットで否定や攻撃的表現が出やすい背景について)
Gable SL, et al. What do you do when things go right? The intrapersonal and interpersonal benefits of sharing positive events. Journal of Personality and Social Psychology, 2004.(肯定的応答が人間関係を良くすることについて)
Russo MA, et al. The physiological effects of slow breathing in the healthy human. Breathe, 2017.(ゆっくりした呼吸が自律神経バランスに与える影響)
Takahash




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