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作品について
本や映画を紹介します。趣味のお話です。


『スマホ脳』を読んで考えた|“止まれない時代”と身体の緊張
この記事は、数年前に書いた『スマホ脳』を読んだ感想の記事を、現在の私の視点でリライトしたものです。 当時は「スマホ依存」や「集中力低下」を中心に読んでいましたが、今読み返すと、「人の身体が休まりにくくなっている時代」を扱った本にも感じました。 最近は、「休んでいるのに疲れが抜けない」「何もしていないのに頭が落ち着かない」という相談を受けることがあります。 その背景には、スマホやSNSによって、常に情報へ反応する状態が続いていることも関係しているように思います。 人間の脳はデジタル時代にまだ慣れていない スウェーデンの精神科医、アンデシュ・ハンセン先生の著書『スマホ脳』では、「人間の脳は現代のデジタル環境にまだ適応しきれていない」という視点が紹介されています。 本の中で印象的だったのが、「人類の歴史を24時間に例える話」です。 狩猟採集生活がほぼ丸1日を占め、農耕生活は最後の数十分、産業革命は数秒。 そしてスマホやインターネット中心の生活は、最後の1秒ほどだと語られています。 つまり、人間の脳は長い時間を自然環境の変化へ反応することに使ってきた一方

タナカユウジ
6月20日読了時間: 6分


手仕事の中に残っていた日本|柳宗悦『手仕事の日本』を読んで
『手仕事の日本』は、工芸を通して日本を読む本だった 柳宗悦の『手仕事の日本』を読みました。 この本は、主に昭和10年代に書かれた文章をまとめたもので、1948年に刊行されています。 著者は民藝運動を進めた思想家として知られていますが、本書で扱われているのは、美術館に並ぶ特別な作品だけではありません。 日本各地の焼き物、漆器、染物、紙、籠、行李など、暮らしの中で使われてきた手仕事が取り上げられています。 読む前は、各地の工芸品を紹介する本だと思っていました。しかし実際に読んでみると、彼が見ていたのは品物そのものだけではなく、その品物が生まれた土地、自然、歴史、人々の暮らしでした。 つまりこの本は、工芸を入口にしながら、日本という国の成り立ちや感覚を考える文化論として読むことができます。 特に印象に残ったのは、「品物の背景」という章です。 著者は日本の品物を見るには、まず日本の地理を見なければならないと語ります。 日本列島は南北に長く、地域によって気候も素材も暮らし方も大きく違います。 雪の多い地域もあれば、湿度の高い地域もある。...

タナカユウジ
6月9日読了時間: 5分


上手さを見せない難しさ|世阿弥『風姿花伝』を読んで
『風姿花伝』は、室町時代に世阿弥(ぜあみ)によって書かれた能楽論です。 能の演じ方や稽古法をまとめた書物として知られており、日本の古典芸能を語るうえで欠かせない存在として扱われています。 世阿弥は、父・観阿弥から能を受け継ぎ、将軍・足利義満にも才能を認められた人物です。 『風姿花伝』は、そうした経験の中で培われた芸の考え方を、後継者へ残すためにまとめた本だとも言われています。 内容はかなり幅広く、単なる演技論では終わりません。 年齢による芸の変化。 観客との距離感。 どうすれば「花」が生まれるのか。 どのように稽古を積むべきか。 そして、「自然に見えること」とは何か。 『風姿花伝』には、そうした内容が繰り返し登場します。 有名な「初心忘るべからず」という言葉も、この本の中で語られています。 読む前の私は、もっと“芸事の技術書”に近いものを想像していました。 もちろん、技術についての話も多く書かれています。 ですが実際には、「どう上手くなるか」だけではなく、「どう在るべきか」まで考え続けた本のように感じました。 技術書のようで、

タナカユウジ
5月25日読了時間: 6分


『モモ』は何を伝えたいのか|時間を奪うのは誰か、現代人が読み返したい一冊
今回は、ミヒャエル・エンデ著『モモ』について書いてみたいと思います。 『モモ』は1973年に発表された作品です。 日本でも長く読み継がれてきた児童文学の名作として知られています。 ただ、大人になってから読み返すと、子どもの頃とはまったく違う印象を受ける本でもあります。 物語の中心にあるテーマは、「時間」です。 しかし、それは単なる予定管理や効率化の話ではありません。 人がどのように時間を感じ、どのように生きているのか。 その感覚そのものが、静かに描かれている作品です。 ここから先は、物語の内容にも触れます。 未読の方は、その点だけご承知ください。 『モモ』とはどんな物語か 物語は、廃墟となった円形劇場に住む少女モモと、町の人々との交流から始まります。 道路掃除夫のベッポ。 話し上手なジジ。 職人や子どもたち。 さまざまな人がモモのもとを訪れます。 モモには特別な力があります。 それは、相手の話をじっくり聞くことです。 彼女の前では、人々は自分の言葉を取り戻します。 忘れていた気持ちや、本当に考えていたことに気づいていきます。 モモは助言をするわけ

タナカユウジ
1月9日読了時間: 4分


ニーチェ『ツァラトゥストラ』に学ぶ、生きる力と“自分との向き合い方”
ドイツの哲学者、 フリードリヒ・ニーチェ(Friedrich Nietzsche, 1844–1900) 。 彼の言葉は、時に鋭く、時に孤高で、読み手に深い思索を促します。 ニーチェが晩年に遺した代表作『ツァラトゥストラかく語りき』は、単なる哲学書ではなく、彼自身が...

タナカユウジ
2025年6月5日読了時間: 12分


『森の生活』に学ぶ。現代を軽やかに生きるためのヒント
なぜ今、『森の生活』なのか? スマホやパソコン、SNS。私たちは一日中、情報の波にさらされています。便利なはずなのに、どこか心が疲れてしまう。 そんなときふと思い出したのが、ソローの『森の生活』でした。 都会で暮らし、働く私たちにとって、「自然の中でシンプルに生きる」という...

タナカユウジ
2025年5月9日読了時間: 3分


『人生の短さについて』に学ぶ。セネカが教えてくれる、今を生きるヒント
セネカとは? 古代から響く、生き方の知恵 今回ご紹介するのは、古代ローマの政治家・哲学者であるセネカ(Lucius Annaeus Seneca)の名作『人生の短さについて』です。(光文社古典新訳文庫版より) セネカはストア派哲学の代表的人物であり、倫理や人生について深く考察した数多くの著作を残しました。 また、若き日の皇帝ネロの側近(家庭教師)を務めたことでも知られています。 彼の思想は、今なお世界中の人々に影響を与え続けています。 今回取り上げる『人生の短さについて』は、そんなセネカが妻パウリナの縁者パウリヌスに宛てた手紙形式の作品です。 『人生の短さについて』の核心 セネカが伝えたかったメッセージは、極めてシンプルです。 「人生は短いのではない。私たちが時間を浪費しているから短く感じるのだ。」 時間は誰にとっても平等に与えられた貴重な資源。 問題は、その使い方にあります。 彼は、無意識のうちに他人のため、無意味な習慣のために時間を浪費していることを鋭く指摘します。 私たちが本当に大切なことに集中できれば、人生は豊かで満たされたものになるはず

タナカユウジ
2025年4月28日読了時間: 4分


ショーペンハウエル:読書について
今回は、ドイツの哲学者アルトゥル・ショーペンハウエルの「読書について」(1851年発表 )の感想と考察を書きたい思います。 これは単なる読書指南書ではなく、私たちの思考と心のあり方に深く問いかける内容です。 私が読んだのは、「読書について 他二編」岩波文庫です。...

タナカユウジ
2025年3月27日読了時間: 4分
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