top of page

夜中に目が覚めても大丈夫:再び眠りに戻るための実践ノート

  • 執筆者の写真: タナカユウジ
    タナカユウジ
  • 10月10日
  • 読了時間: 5分

夜中にふっと目が覚めてしまうと、「また眠れなかったらどうしよう」と焦りが出て、ますます目が冴えてしまうことがありますよね。

そんなときに役立つのが、“ちょっとした工夫で脳と身体の緊張を落ち着ける方法”です。

この記事では、セルフケアとして取り入れやすい考え方と具体的な実践をわかりやすく紹介します。


夜中に覚醒するのは異常ではない

人の睡眠はおおよそ90分前後の周期で浅くなったり深くなったりを繰り返しています。

その過程で短く目が覚めるのは自然な現象です。

ただし「眠れないかもしれない」という不安が重なると、交感神経が優位になって脳と身体が覚醒し、再び眠りに戻れなくなります。

だからこそ、「自然なこと」と受け止めて、焦らない工夫が大切なのです。


1. 最初の3分がカギ

夜中に目覚めてからの最初の数分間が、再び眠れるかどうかを左右します。


  • 時計やスマホを見ない:光刺激が脳を「朝」と勘違いさせ、残り睡眠時間を気にすることで焦りが強まります。

  • まぶたをぎゅっと閉じない:力を入れると顔の筋肉が緊張し、全身もこわばってしまいます。


代わりに取り入れたいのが「ボックス呼吸」です。

これは吸う・止める・吐く・止めるを同じ秒数で繰り返す方法で、心拍が落ち着き、神経の高ぶりを和らげる一助になることがあります。

呼吸法については、一部の研究で短時間の実践でも気分や覚醒度の低下と関連が報告されています。

感じ方には個人差があるため、無理のない範囲で継続してみるのがおすすめです。


  1. まぶたを軽く閉じて力を抜く

  2. ボックス呼吸(4秒吸う→4秒止める→4秒吐く→4秒止める)を数セット繰り返す(目安2〜5分)

  3. 「これは一時的な目覚め」と自分に言い聞かせる


2. 脳を退屈にして眠気を呼ぶ

考えごとをすると眠れなくなります。逆に意味のない作業を淡々と繰り返すと、脳は飽きて眠気を取り戻します。

例えば「Aから順に食べ物を思い浮かべる」「台所用品を10個並べてみる」など。

興味が薄く、単純だけど少し変化のあるテーマが効果的です。

大切なのは、1つの言葉に時間をかけすぎず、数秒ごとに切り替えること。眠れなければ10分程度で他の方法に切り替えましょう。

この方法は「コグニティブ・シャッフル」と呼ばれ、覚醒を維持する“意味づけ・計画”の連鎖を断ち切る目的で考案されています。

まだ大規模な臨床研究は少ないですが、実践報告では「退屈さを利用して眠気を呼ぶ」有効な手がかりとされています。


3. ちょっとだけストレッチで身体をゆるめる

身体の緊張を解くには「小さく力を入れて抜く」ことが有効です。ベッドの中でできる簡単な漸進的弛緩法です。


  • 足の指先を1〜2秒力を入れて脱力

  • ふくらはぎ、太もも、お腹、肩、手、顔と順番に同じように行う


息を吐きながら力を抜くのがコツ。スポンジを握って離すと水が抜けるように、身体も自然に緩んでいきます。

漸進的筋弛緩(PMR)は不安の軽減や睡眠の質の向上と関連が報告されています。

医療従事者や慢性疾患の方を対象とした試験も多く、一般的なセルフケアとしても活用しやすい方法です。


4. 粘らずに一度ベッドを離れる

「15分以上眠れない」と感じたら、思い切ってベッドから出てみましょう。眠れないまま横になり続けると、脳は「ベッド=眠れない場所」と覚えてしまいます。

退屈で頭に入りにくい本(取扱説明書や専門書など)を、弱い照明の下でパラパラと眺めるのがおすすめです。

眠気が戻ったら必ずベッドに戻りましょう。

スマホやタブレットは光の刺激が強すぎるため避けてください。


これは「刺激制御」と呼ばれる方法で、不眠症の認知行動療法(CBT-I)の柱の一つです。研究でも「20分以内に眠れなければ離床し、眠気が戻ったらベッドに戻る」を繰り返すことで睡眠とベッドの結びつきが強まり、入眠しやすくなると報告されています。


5. 夜中にトイレへ行った後の工夫

夜間にトイレで目が覚めた場合は、なるべく覚醒を強めない工夫がポイントです。


  • 明るい照明は避け、赤系のごく弱い足元灯などを使う(メラトニン抑制が小さい)

  • 戻ったら軽く呼吸法やストレッチをして再びリラックス

  • 寝る前の水分やアルコールの摂取量を控え、冷えを防ぐ


夜間照明については、比較的弱い室内光でもメラトニン分泌が抑えられ体内時計に影響するという報告があります。

そのため、青白い光を避け、必要最小限の明るさに抑える工夫が再入眠に役立ちます。


6. 翌日のリカバリー習慣

夜中に覚醒した翌朝は、だるさが残ることがあります。そんな日は意識的にリカバリーを行いましょう。

  • 起きたらすぐ自然光を浴びて体内時計をリセット

  • カフェインは正午までにとどめる

  • 仮眠は15〜20分以内に(長く眠ると逆効果)

  • 夕方に軽い散歩やストレッチで適度に疲労を与える

  • 夜に向けて「これをしたら寝る」と決めたルールを守る


7. 不安を小さくする予防習慣

「また目が覚めるかも」という不安があると眠りが浅くなります。その不安を小さくする工夫も大切です。

  • 就寝90分前に入浴し、上がった体温が下がるタイミングで眠気を活用

  • 照明・音・室温を整え、眠れる環境を作る

  • スマホは寝室に持ち込まない

  • 寝る前に「今日できたこと」を3行書き出す

  • 家族や同居人に協力をお願いし、習慣を続けやすくする


まとめ

夜中に目が覚めても、それは自然なリズムの一部です。焦って「眠らなきゃ」と自分を追い込むのではなく、「できることを一つやってみよう」という姿勢が大切です。

小さな工夫を積み重ねることで、眠りはゆるやかに整っていきます。


※本記事は一般的なセルフケアの情報提供を目的としたもので、医療行為ではありません。つらい症状が続く、日中の強い眠気やいびき・無呼吸がある、薬の影響が疑われる等の場合は、早めに医療機関へご相談ください。ここで紹介した方法は「感じ方に個人差」があり、効果を断定するものではありません。


素材のご案内

健康や心理に使える画像素材を公開しています。よろしかったらご覧ください。


ree


 
 
 

コメント


bottom of page