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考える力を奪われていく社会で、自分の頭を使う習慣を取り戻す

  • 執筆者の写真: タナカユウジ
    タナカユウジ
  • 9月12日
  • 読了時間: 3分


現代の日本で急速に広がっている「自分の頭で考えられない人たち」。

SNSを開けば怒りや不安を煽る投稿ばかり。ニュースを見ても、何が事実で何が演出なのか分かりにくい。

気づけば、自分の意見は誰かの言葉の受け売りになっていて、それを疑うのも面倒くさいと感じる。——そんな経験、ありませんか?

私たちは今、快適さや便利さに包まれながら、静かに「考える力」を手放しつつある時代に生きています。

なぜそんなことが起きているのか、その背景を掘り下げていきます。


エーリッヒ・フロム『自由からの逃走』

ドイツの社会心理学者エーリッヒ・フロムは『自由からの逃走』で、人は「自分の頭で自由に選ぶ責任」を不安に感じると語りました。

その不安から逃れるために、人は権威や集団に従いやすくなる。

つまり、自分で考える自由からあえて逃げてしまうのです。

これは知識不足や残酷さからではなく、心理的な逃避として生まれる思考停止です。

SNSの意見にそのまま従ったり、職場で「上司がそう言うなら」と判断を後回しにしてしまうのも、この構造とつながっています。


ミルグラム実験:権威に従う心理

1960年代、スタンレー・ミルグラムはイェール大学で有名な心理学実験を行いました。

参加者は「先生」役として、生徒が問題を間違えるたびに電気ショックを与えるよう指示されました。

実際には電気は流れていませんでしたが、参加者はそれを知りません。生徒が「やめてくれ」と叫んでも、白衣の実験者が「続けてください」と促すと、多くの人が従ったのです。結果、65%の参加者が最大電圧のスイッチを押し続けました。

ここから分かるのは、「普通の人でも責任を転嫁すれば権威に従ってしまう」ということ。つまり思考停止は、誰にでも起こりうる心理現象なのです。


思考停止が起こる背景

なぜ人は考えるのをやめてしまうのか?それは、脳がエネルギーを節約したいから。

心理学者ダニエル・カーネマンが提唱した「システム1(直感的思考)」と「システム2(熟慮的思考)」のモデルで説明されます。

現代の情報環境はシステム1を刺激し続けるように設計されており、私たちは自然と「考えない方」へ流されていきます。

また、経済的ストレスや将来不安も、人々を「楽で断定的な言葉」に引き寄せやすくしています。


思考を取り戻すための4つの習慣

考える力を鍛えるには、日常の中で小さな習慣を積み重ねることが大切です。ここでは4つの習慣を紹介します。


  1. 反対意見に触れる:普段見ない立場の意見にあえて触れることで、思考の幅が広がります。

  2. 確信が強まったときこそ立ち止まる:「もし間違っていたら?」と問い直すことで、思い込みを点検できます。

  3. SNSで即反応しない:シェアやコメントの前に60秒の間を取ることで、誤情報に流されにくくなります。

  4. 「知らない」と言える勇気を持つ:分からないまま即答せず、考える余地を残すことができます。


まとめ

考えることは楽ではありません。時に孤独で、不安で、疲れる作業です。

しかし、自分の頭で問い直し、選び直すことで「自分の人生を生きる力」につながります。

「誰かの言葉」ではなく「自分の言葉」で語り、「空気」ではなく「自分の価値観」で選ぶ。その積み重ねが、あなた自身の軸を育てていきます。


※本記事は健康や心理について一般的な視点を共有したものであり、特定の効果を断定するものではありません。


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