top of page

ショーペンハウエル:読書について

  • 執筆者の写真: タナカユウジ
    タナカユウジ
  • 3月27日
  • 読了時間: 4分

ree

今回は、ドイツの哲学者アルトゥル・ショーペンハウエルの「読書について」(1851年発表

)の感想と考察を書きたい思います。

これは単なる読書指南書ではなく、私たちの思考と心のあり方に深く問いかける内容です。

私が読んだのは、「読書について 他二編」岩波文庫です。

整体師として、人の身体だけでなく心の在り方にも関心を持つ中で、ショーペンハウエルの読書観には深く考えさせられるものがあります。


読書の危険性?


ショーペンハウエルは、読書の重要性を認めつつも、それに溺れることの危険性を強調しました。

彼の著作『読書について』では、他人の考えに依存し、自らの思考を放棄することを厳しく批判しています。

「読書は他人の頭で考えることだ」と述べる彼は、読書に没頭するあまり、自分の頭で考える力を失ってしまうことを懸念していました。


これは現代にも通じるテーマです。

インターネットやSNSで情報が氾濫する中、他人の意見や評価に依存してしまう場面は多いでしょう。

何か新しい情報を得るとき、それが本当に自分の考えなのか、ただ流されているだけなのか、一度立ち止まって考える必要があります。


読書と自己思考のバランス


ショーペンハウエルは、読書は「思索の刺激剤」であるべきだと考えていました。

彼にとって、良質な読書とは自己の思索を深めるための材料であり、それ自体が目的ではありません。

読書を通じて得た知識を「自分のもの」として消化し、自らの視点で考えることの大切さを説いています。


整体師として身体を緩める仕事をしている私にとっても、これには共感します。

身体のケアにおいても、「どのような施術が良いのか?」という問いに対しては、多くの情報が存在しますが、それをそのまま適用するのではなく、クライアントの状態や自分の経験をもとに解釈し、自分なりの施術を行うことが大切です。

読書も同じで、ただ情報を受け入れるのではなく、自分の頭で考え抜く姿勢が必要です。


無駄な読書と有益な読書

ショーペンハウエルは「無駄な読書」にも触れています。

それは、単なる娯楽としての読書や、表面的な情報収集にとどまる読書です。

これに対して、彼は「本当に価値のある本を何度も繰り返し読むこと」を推奨しました。

読書の質を重視し、読み飛ばすのではなく、一文一文を味わうように読むことが重要だとしています。


この姿勢は、整体の施術にも通じるところがあります。

クライアントの身体に触れるとき、その感覚を表面的に受け取るのではなく、筋肉の奥にある緊張や、身体全体のバランスを深く感じ取るようにしています。

同じように、深く理解し、自分のものにする読書は、身体の内側にアプローチする施術のようなものだと感じます。


現代社会とショーペンハウエルの読書観


情報が瞬時に手に入る現代において、私たちは多くの知識を表面的に拾い読みすることが増えました。

その結果、知識は増えても思索の深さが欠けることがあります。

ショーペンハウエルの読書観は、現代にこそ重要な指針として再評価されるべきかもしれません。

また、整体院で施術をしていると、クライアントの方々が「正しい姿勢」や「健康法」について情報を過剰に得て、かえって混乱しているケースを見かけます。

情報に振り回されるのではなく、自分の身体と心の声に耳を傾けることが、真の健康に繋がるのではないでしょうか。

心の癒しにも、単に他者の言葉に頼るのではなく、自らの内省を大切にすることが必要です。


まとめ:自分の頭で考える力を養う


ショーペンハウエルが指摘したように、読書は他人の考えを借りる行為であり、それ自体が目的化してしまうと危険です。

しかし、正しく読書を行い、そこから自分なりの解釈を導き出すことができれば、それは豊かな自己成長の糧になります。

私も、クライアントの身体に向き合いながら、自分自身の経験や知識を自分のものとして活かし、施術に反映していくことを心がけています。

心の癒しにもつながるような読書を心がけ、自己の思考を深める機会として楽しんでみてください。


コメント


bottom of page