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姿勢と環境を整える「ポスチャー・エルゴノミクス」

  • 執筆者の写真: タナカユウジ
    タナカユウジ
  • 8月21日
  • 読了時間: 4分

現代人の新しい課題


在宅ワークや長時間のデスクワークが日常化した現代、「座りっぱなし」は新しい健康課題として世界中で問題視されています。

欧米では(比喩として)“座りすぎは新しい喫煙(Sitting is the new smoking)”とも言われ、姿勢作業環境をどう整えるかが大きなテーマになっています。

前回取り上げた「マイクロブレイク(小休憩)」が“時間の工夫”だったのに対し、今回の「エルゴノミクス(人間工学)」は“環境の工夫”。この2つを組み合わせることで、日常の中に無理なく続けられるセルフケアの土台ができます。



欧米で注目されるエルゴノミクスの考え方


「エルゴノミクス」とは、人の身体に合うように道具や環境を調整する考え方。

産業分野の研究がベースですが、在宅勤務の普及とともに一般生活にも広がっています。


  • スタンディングデスク:立って作業できる机。長時間の座位を避けやすい。

  • エルゴチェア:腰・骨盤を支え、自然な姿勢を保ちやすい椅子(背もたれ・座面が調整可)。

  • モニタースタンド:画面を目線の高さへ。首・肩のこわばりを招きにくくする。

  • フットレスト:足裏を支え、腰・下肢の安定感を助ける。


欧米ではこれらを単なる快適グッズではなく、集中しやすい環境づくりへの投資として捉える傾向があります。


姿勢と環境の関係(整体の現場から)


整体の現場で感じるのは、「姿勢は意思だけでは変えにくい」ということ。

姿勢はしばしば環境に適応した結果として現れます。


  • 椅子が低すぎる → 骨盤が後傾し、背中が丸まりやすい。

  • モニターが低い → 顎が前に出て、首・肩の緊張が続きやすい。

  • テーブルが高い → 肩をすくめた姿勢で固定されがち。


つまり 環境が姿勢をつくり、姿勢が日々のからだ感覚をつくる。施術で一度ゆるんでも、環境がそのままだと同じ負担を繰り返しやすくなります。

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60秒でできる「デスク周りミニチェック」


  • :かかとを含め足裏が床に触れ、膝はおおむね90°前後。

  • :キーボードに置いた肘が約90°前後で、肩に力みがない。

  • 目線:画面上縁が目線の少し下〜同じくらい(水平±10°が目安)。

  • :丸めたタオルを腰の後ろに入れ、自然なS字をサポート。

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※目安であり、快適に感じる範囲で微調整してください。


道具に頼らない代替アイデア(家にあるもので)


  • 書籍を重ねてモニターの高さを上げる。

  • バスタオルで腰サポートを作る。

  • 段ボール箱で簡易フットレスト

  • キッチンカウンター等を使って立ち作業に切り替える時間をつくる。

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作業ごとに姿勢を切り替える工夫

同じ姿勢を続けないために、作業内容で姿勢を分けるのがおすすめです。

  • タイピング・集中作業:座り姿勢

  • オンライン打合せ・音声視聴:立ち姿勢

  • 資料読み:ソファや別席で姿勢を変える

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「作業=姿勢」をセットで考えると、無理なく切り替えが習慣化します。


マイクロブレイクとのつながり



  • マイクロブレイク=“こまめな水やり”(短時間のリセット)

  • エルゴノミクス=“土壌を整える”(そもそも負担がかかりにくい環境)


水やりだけでも一時的には元気になりますが、土壌が固いままだと根は伸びにくい。

逆に土壌を整えても、水やりを全くしなければ乾きます。両方そろって、はじめて育ちやすい——そんな関係です。


整体的に見たエルゴノミクスの要点


  • 腰の前支持:丸めたタオル1枚で骨盤が立ちやすく、上半身が楽に。

  • 机・椅子の高さ:肘が約90°だと肩が下がりやすい。

  • 作業単位の切替:長文=座る/打合せ=立つ、など。


これらの「ちょっとした工夫」の積み重ねが、日常の姿勢の質を底上げします。施術後の心地よさも保ちやすくなります。


まとめ:環境が未来の身体をつくる


「姿勢を良くしよう」と意識だけで頑張るより、自然と良い姿勢になる環境を整えるほうがラクで続きます。

みどり整体院では、施術でゆるんだ後に「ご自宅や職場でできる環境調整のコツ」をお伝えすることがあります。

これはまさにエルゴノミクスの発想と重なります。

環境を整えることは、未来の自分の身体を整えること。

できる範囲から、今日ひとつ試してみてください。


※本記事は日常生活でできる一般的な工夫を紹介するものであり、医療的な効果を断定するものではありません。


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