“諦めモード”から“選び直し”へ:役割の自分から、本当の自分へ戻る小さな練習
- タナカユウジ
- 8月29日
- 読了時間: 6分
更新日:5 日前
はじめに──その静かな違和感は、サボりじゃない
朝の支度、終わらないタスク、誰かの期待。ふとした瞬間に「このままでいいのかな」と胸の奥がざわつく…その感覚は、怠けではありません。
心理学では、役割と自分自身が過度に重なった状態で起きやすい“諦めモード”のサインだと考えられます。
ここで扱いたいのは、「一気に人生を変える」話ではなく、“選び直し”を日常の単位で取り戻すための具体的な手がかり。
難しい理屈より、今日からできる小さな一歩を、身体と心の両面から示します。
なぜ人は“諦めモード”に入るのか──心理のしくみ
1) 役割同一化(ロール・フュージョン)
上司、親、“いい人”……。役割の自分が長く続くほど、「本当はどうしたい?」という内側の声が聞こえにくくなります。
役割は大切ですが、役割=自分の全部になってしまうと、選択感覚が摩耗します。
2) 先送りの正体は“恐れ”
「今はタイミングじゃない」「準備ができたら」…この言葉の背後に多いのは、失敗・評価・損失への恐れ。恐れは消えません。
けれど、方向を示す指標(インジケーター)として扱えば、行動の設計図に変わります。
3) 身体が置き去り
頭(思考)だけで頑張ると、身体の感覚が鈍くなり、やりたい/嫌だの微細なサインを取り逃がします。
心の舵取りには、身体のセンサーを取り戻すことが不可欠です。
視点の反転──環境を変える前に、内側の「姿勢」を変える
大きな転職や断捨離の前に、まずは内側の姿勢から。ここでの姿勢とは“姿勢矯正”の意味ではなく、
いま自分は何を感じているか(感情)
どこに力が入っているか(身体感覚)
何を大切にしたいか(価値)
を同時に観る“内側の構え(内的ポスチュア)”のこと。
以下では「内側の構え」と書きます。身体→感情→価値の順で微調整していくと、現実の選択が少しずつ変わります。
今日からできる“小さな選び直し”ワーク
日常に取り入れやすい練習は、難しい理屈よりも「すぐにできる・負担が少ない」ことが大切です。ここでは、意識の切り替えや自分との再接続を助けるための、シンプルで短時間の実践を紹介します。
無理なく、短時間で、繰り返せる設計に。
ワーク1|3分「身体スキャン・メモ」
1分:椅子に深く座り、目線は水平。呼吸は鼻から3拍吸って、3拍止めて、6拍で吐く(無理のない範囲で)。
1分:身体の5点を順に観察(額・肩・みぞおち・骨盤・足)。
1分:
いま快/不快はどこ?
それに名前をつける(例:肩=ピリッ、みぞおち=ぎゅっと)。
最後に一言メモ(例:「会議前で肩が守りの姿勢」)。
ねらい:思考から身体へチャンネルを切り替え、微細なサインを言語化する。
※苦しさがある場合は「2-2-4」(吸う2・止める2・吐く4)に変更してください。
ワーク2|「感情をひとこと日記にする」
1日の終わりに、今日一番強く感じた感情を1つだけ書き出します。
その感情を感じた場面(例:会議、帰宅途中)
そのときの身体の感覚(例:胸がつまる、肩が軽い)を短い一文にまとめる。
例:「会議で不安=みぞおちが重かった」「帰宅途中に安心=背中がゆるんだ」。
ねらい:感情を身体感覚とリンクさせ、日常に落とし込む。
ワーク3|“一番小さい前進”を決める
今日のToDoから「一番小さな行動」をひとつだけ選びます。
例:本を1ページだけ読む、食器を1枚だけ片付ける、散歩を3分だけする。
完了したらチェックをつけて終了。他の項目は翌日に回してかまいません。
ねらい:無理なく「できた」を積み重ね、自分で選んだ感覚を強める。続けるコツは、“必ず小さく”を守ることです。
恐れの取り扱い方──敵ではなく、方向指示
私たちが行動を止めてしまう大きな理由のひとつが「恐れ」です。
失敗や批判への恐れは自然な反応であり、完全に消すことはできません。
ですが、恐れは敵ではなく、これから進むべき方向を教えてくれるサインでもあります。
恐れを扱うときは、漠然と不安になるのではなく、次の3つに整理してみましょう。
確率:その出来事が実際に起きる可能性は何%くらいか?(直感でOK)
対策:もし起きたら、どんな対応ができるか?(箇条書き1〜2行)
代償:行動しなかった場合に生じるコストは何か?(後悔や停滞など)
ポイントは「行動しないことのリスク」まで見ておくこと。そうすると、恐れがブレーキだけでなく、前進のための方向指示に変わります。ミニセルフトーク:「不安がある=大事だから。小さく一歩」
週1「選び直しデー」の手順(15〜20分)
平日や日常の忙しさに流されると、自分で選んでいる感覚を取り戻すのが難しくなります。そこで週に一度だけ、「選び直し」をテーマにした小さな時間を設けるのがおすすめです。たった15〜20分でも、振り返りと実験をセットにすることで、生活に“余白”と“方向性”が生まれます。
身体を整える(呼吸3-3-6×6サイクル)。
今週のよかった選択を3つ書く(大小は問わない)。
来週の小さな実験を1つ決める(例:通勤で一駅歩く、21時以降は通知オフ)。
実験の観察ポイントを1行メモ(「寝る前の心拍が落ち着く?」など)。
ねらい:人生を“最適化”ではなく実験にしてみる。結果を評価するのではなく、試すプロセスそのものを楽しむ。
グラウンディングとしての“整え”
グラウンディングとは、気持ちや思考が不安定なときに「いまここ」に意識を戻し、安心感を取り戻す方法のことです。
心理カウンセリングの分野でもよく使われ、身体の感覚に注意を向けることで心が落ち着きやすくなります。
「変わりたい時ほど身体は置いていかない」。シンプルな整えをご紹介します(安全第一で)。
壁立ちチェック(30秒):後頭部・背中・おしり・かかとを壁に軽く触れ、呼吸がしやすい位置を探す。痛みや不快があれば中止。
呼吸の間(60秒):吸う3・止める3・吐く6。吐く時間を長くすると、切り替えが穏やかに。
歩行のテンポ(1〜3分):かかと→母指球→指先の順に、足裏の接地を観察しながらゆっくり歩く。
目的は矯正ではなく、身体と現在地をもう一度つなぐこと。
まとめ──人生は“正解”ではなく、“選び直し”の連続
“諦めモード”の出口は、劇的な転換ではなく、毎日の小さな選択に宿ります。
恐れはゼロになりません。でも、それは方向を教えるサイン。
身体のセンサーを取り戻し、価値に沿って一歩を選ぶ…その積み重ねが、静かに人生を動かします。
中野区の静かな南口エリアにあるみどり整体院では、過剰な頑張りではなく、身体から「選び直し」を取り戻す視点を大切にしています。
ご相談はお気軽にどうぞ。
※本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、医療機関や専門家の診断・治療・助言の代替ではありません。
※安全に配慮し、痛みや不快感がある場合は中止してください。既往歴や不安がある方は、適切な専門家にご相談ください。
※記載のワークは効果を断定するものではありません。個人差があります。

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