整体院で働く、ふたりの仲間 ― ウーパールーパーたちの「新しいおうち」と日々のこと ―
- タナカユウジ

- 5月13日
- 読了時間: 3分
みどり整体院に、ふたりのスタッフがいます。
名前は、セネカとニーチェ。 ……といっても、人ではありません。
ふたりはウーパールーパー、つまり「メキシコサラマンダー」とも呼ばれる、
ちょっと不思議で、どこか神秘的な両生類です。
彼らが「みどり整体院」にやってきたのは、まだ開業前の2か月ほど前のこと。
最初は指先ほどの小さな身体でしたが、今ではしっかりと育ち、ひとまわり以上も大きくなりました。
そんな彼らに先日、新しい変化が訪れました。
「ちょっと、せまいかも」からはじまった
日々、彼らの様子を観察していると、「おや?」と思う瞬間がありました。
水槽の中を泳ぎ回るうちに、どうも動きがぎこちない。
以前はもっとスイスイと自由に泳いでいたのに、今は端まで行ってすぐ折り返したり、身をひるがえす時にもどこか窮屈そうな仕草を見せていました。
身体の成長にあわせて、どうやら今までの水槽では手狭になってきたようです。
それならば、と決めたのが、新しい棲家への「お引っ越し」。
場所は同じく整体院の中。
いわば職場でもある院内の一角に、広めの新水槽を準備することにしました。
新しい水槽、でも「なんだここ?」という顔

新しい水槽には、自然に近づけるために水草も多めにしてみました。
底にはちょっとした隠れ家になるオブジェも置きました。
透明度の高いガラスの水槽は、光の加減によって柔らかく反射し、院内の雰囲気にもぴったり。
ですが、初日から大喜び…というわけにはいきませんでした。
ふたりとも、最初の1〜2日は明らかに「戸惑っている」様子です。 水草の陰からじっと外をうかがっては、また引っ込む。
ときおり顔を出しても、すぐにぴょこんと身を隠す。
今までとは違う水流や配置、見える景色に少し緊張していたのかもしれません。
3日目の朝、動きに変化が
そんな中、迎えた3日目の朝。 カーテン越しに差し込む柔らかい光の中、2匹はゆらりと水中を漂い始めました。
ときに顔を寄せ合って泳ぎ、ときに別々の場所を探検し、ときに水草の陰でぴたっと静止して休憩。
どうやら、ようやく「ここが自分たちの場所なんだ」と納得したようです。
見ているこちらも、思わず笑顔になってしまう瞬間。 彼らの動きはゆっくりで、でもどこかリズムがあり、
見ていると自然と呼吸も落ち着いてきます。
整体の施術にいらした方が「この子たち、見てると癒されますね」と言ってくださるのも、なんだか納得です。
窓の外から「見たいー!」の声
実はこの新しい水槽、整体院の外からも見える位置に置いてあります。
そして「ウーパールーパーいます」というPOPを貼ってみました。

するとどうでしょう。
外を歩く人たちがふと足を止め、窓ガラス越しに中をのぞきこむ光景が増えてきたのです。
なかでも目立つのは、小さな子どもたちの反応。
「えー!見たいーー!」
「あれ、生きてるの!?ほんとに!?」
そんな声が外から聞こえてくるたび、こちらもほっこりします。
なかには保護者の方と一緒に院内に入ってきて、「ちょっとだけ見せてもらっていいですか?」と声をかけてくださる方もいらっしゃいます。
セネカとニーチェは、ちゃんと「仕事」してます
この整体院は、身体を整える場所であると同時に、 心が少しやわらぐ場所でありたいとも思っています。
そういう意味では、セネカとニーチェは立派な「スタッフ」。
直接施術はしませんが、その存在だけで空気をふんわりさせてくれます。
来院された方が帰り際に「ウーパールーパー、また見にきますね」と笑ってくださるのが何よりうれしいです。

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