整体を受けて「自分の身体に気づく」とは?身体感覚を取り戻すということ
- タナカユウジ

- 2025年6月10日
- 読了時間: 8分
更新日:8月16日
整体を受けているとき、こんなことに気づく方がいます。
「自分では力を抜いているつもりだったけれど、肩にずっと力が入っていたんですね」
「言われてみると、呼吸がずいぶん浅かった気がします」
「左右でこんなに動かしやすさが違うとは思いませんでした」
不思議なのは、その状態が施術を受けた日に突然始まったわけではないことです。
おそらく普段から同じように身体を使っていたはずなのに、それまでは特に気にしていなかった。
整体を受けて身体へ意識を向けたことで、初めて「自分はこういう状態だったのか」と気づくことがあります。
整体というと、硬くなった筋肉をほぐしたり、身体を整えたりする場所というイメージが強いかもしれません。
もちろん、それも整体の役割の一つです。
しかし私は、整体にはもう一つ、「自分の身体を知る時間」という役割があると考えています。
今回は、整体を受けることで生まれる「気づき」とは何なのか。そして、自分の身体に気づくことがなぜ大切なのかを考えてみます。
なぜ自分の身体なのに気づかないのか
私たちは毎日、自分の身体と一緒に生活しています。
それなのに、肩に力が入っていることや、呼吸が小さくなっていること、片側へ体重をかけて立っていることなどには、意外と気づいていません。
これは決して珍しいことではありません。
仕事をしているときには仕事へ、スマートフォンを見ているときには画面へ、人と話しているときには相手へ意識が向きます。
日常生活では、身体の一つひとつの感覚を常に確認しながら過ごすわけではないからです。
むしろ、いつもと同じ状態ほど「普通」になっていきます。
たとえば肩に少し力が入った状態が長く続いていれば、それが自分にとってのいつもの状態になります。
そこで整体を受け、普段とは違う姿勢になったり、身体に触れられたり、左右の動きを比べたりすると、それまで気づかなかった違いが見えてくることがあります。
「右は動かしやすいけれど、左は少し動かしにくい」
「ここに触れられると、思っていたより力が入っている」
「息を吐いたとき、肩まで少し下がった」
こうした小さな発見が、自分の身体を知る入口になります。
身体の違和感を探すのではなく、「今、自分はどう感じているのか」を観察する考え方については、
でも詳しく紹介しています。
「力を抜いて」と言われても抜けない理由
施術中に「力を抜いて大丈夫ですよ」とお伝えしても、なかなか力が抜けない方がいます。
本人は力を入れているつもりがありません。
むしろ、「抜いているつもりなんですけど」と戸惑うこともあります。
これも、自分の身体の状態に気づきにくい例の一つです。
長く続いている身体の使い方は、自分にとって当たり前になります。
肩を少し持ち上げている。
奥歯を軽く噛みしめている。
お腹に力を入れている。
呼吸するときに胸や肩を大きく動かしている。
そうした状態が続いていると、「力が入っている状態」と「力が抜けている状態」の違いそのものが分かりにくくなることがあります。
だから、無理に力を抜こうとする必要はありません。
まずは、
「ここに力が入っていたんだな」
と分かること。
それだけでも、自分の身体との付き合い方を見直すきっかけになります。
「力を抜こうとしているのに抜けない」という状態には、単なる癖だけではなく、身体が無意識に緊張を保っていることが関係している場合もあります。
こうした身体のこわばりを「悪いもの」と決めつけず、身体を守る反応という視点から考えた、
でも詳しく紹介しています。
身体に気づくための「身体感覚」
自分の身体の状態を感じ取ることを、広い意味で「身体感覚」と呼ぶことがあります。
さらに、呼吸や心拍、お腹の感覚など、身体の内側で起きている変化を感じ取る働きは「内受容感覚」と呼ばれています。
難しい言葉ですが、普段の生活に置き換えると特別なものではありません。
「お腹が空いた」
「喉が渇いた」
「少し息が詰まっている感じがする」
「緊張すると胸のあたりが落ち着かない」
こうした感覚も、自分の身体の状態を知る手がかりになります。
ただし、身体感覚は「細かく感じ取れるほど良い」というものでもありません。
身体のことばかり気にしていると、かえって小さな変化が気になってしまう場合もあります。
また、身体の緊張は、気持ちやストレスと切り離して考えられるものでもありません。
忙しいときや緊張する場面で肩や首へ力が入りやすいなど、心と身体の反応が重なっていることもあります。
ストレスと身体の緊張の関係については、
でも詳しく紹介しています。
大切なのは、不調を探すことではなく、ときどき自分の身体へ意識を戻してみることです。
気づいたからといって、すぐ直さなくていい
自分の身体に気づくと、すぐに直したくなることがあります。
「肩に力が入っているから抜かなければ」
「姿勢が悪いから正さなければ」
「呼吸が浅いから深く吸わなければ」
けれど、ここで新しい「頑張らなければ」を増やしてしまうと、身体を観察すること自体が負担になってしまいます。
まずは、
「今は肩に力が入っているな」
「今日は少し呼吸が小さいな」
と気づくだけでも構いません。
たとえば呼吸であれば、無理に大きく吸おうとするのではなく、今ある息をゆっくり吐いてみる。
それだけで身体の感じ方が変わることもあります。
呼吸を「正しくしよう」と頑張るのではなく、自分の状態に気づく入口として考える方法については、
でも紹介しています。
整体は「身体を変えてもらう場所」だけではない
整体では、施術者が身体へ触れます。
そのため、「整体師が身体を変えてくれる場所」と考える方もいるかもしれません。
しかし私は、それだけでは少しもったいないと思っています。
施術を受けながら、
「ここは動きやすい」
「ここは少し力が入りやすい」
「さっきより呼吸しやすい感じがする」
「横になっていても、意外と身体に力が入っていた」
そんなことに気づく時間も大切です。
施術者から「ここが悪い」と一方的に決められるのではなく、自分自身が身体の違いを感じてみる。
その経験があると、日常生活でも自分の状態へ気づきやすくなります。
整体院を出たあとも、自分の身体と付き合っていくのは自分自身だからです。
日常でも身体へ意識を戻してみる
身体への気づきは、整体を受けているときだけ必要なものではありません。
日常生活の中でも、ときどき身体へ意識を戻すことはできます。
たとえばパソコン作業の途中で、一度手を止めてみます。
そのとき、
肩は上がっていないか。
奥歯を噛みしめていないか。
息を止めていないか。
足の裏は床についているか。
そんなことを軽く確認してみます。
全部直す必要はありません。
「あ、肩に力が入っていた」
と気づいたら、少し肩を動かしてみる。
「息を止めていたかもしれない」
と思ったら、一度ゆっくり吐いてみる。
それくらいで十分です。
自分の身体を細かく管理するのではなく、ときどき「今どうしているかな」と確認する。
このくらいの距離感の方が、身体との付き合い方としては続けやすいと思います。
小さな気づきが身体との付き合い方を変える
整体を受けたからといって、突然自分の身体のことがすべて分かるようになるわけではありません。
そして、「なぜ自分はこんなに力が入るのだろう」と考えるとき、本人の意思だけで説明できない場合もあります。
身体は、その場で実際に起きていることだけではなく、これまでの経験などをもとに先を予測しながら反応していると考えられています。
無意識の緊張が起こる仕組みについては、
でも詳しく紹介しています。
身体は毎日変化しています。
よく眠れた日と寝不足の日では違いますし、仕事が忙しい日と休日でも違います。
だからこそ、「正しい身体の状態」を一つ決めて、そこへ合わせ続ける必要はありません。
今日は肩に力が入りやすい。
今日は呼吸がゆったりしている。
今日は身体が軽く感じる。
今日は少し休みたい。
そうした小さな違いに気づくことが、自分の身体を知ることにつながります。
整体の時間も、そのためのきっかけの一つです。
おわりに
整体を受けて「自分の身体に気づく」というのは、特別な感覚を身につけることではありません。
普段は意識していなかった呼吸や筋肉の力、姿勢、身体の重さなどに、「今はこうなっているんだな」と目を向けてみることです。
そして、気づいたからといって、すぐに直す必要もありません。
まず知ること。
そのうえで、必要なら少し動いてみたり、休んでみたり、呼吸をゆっくり吐いてみたりする。
自分の身体との付き合い方は、そんな小さなところから変わっていくのだと思います。
みどり整体院では、身体を一方的に「直す」のではなく、施術を通してご自身の身体に目を向ける時間も大切にしています。
「こんなに力が入っていたんだ」
「いつもと感覚が違うな」
そんな小さな気づきも、自分の身体を知るための大切な一歩です。
※本記事は、身体感覚や整体について一般的な考え方を紹介したものです。特定の症状の診断や治療、効果を保証するものではありません。強い痛みやしびれ、急激な症状などがある場合は、医療機関へご相談ください。
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