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「なぜ、みどり整体院は中野にあるのか?」

  • 執筆者の写真: タナカユウジ
    タナカユウジ
  • 5月16日
  • 読了時間: 6分


中野という街の魅力


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みどり整体院がある東京・中野という街は、新宿から快速電車でわずか1駅という立地ながら、どこか独特の空気が流れています。

駅の北口には、アーケード商店街「サンモール」が広がっており、その先には言わずと知れた「中野ブロードウェイ」があります。

アニメやフィギュア、古書、時計、昭和レトロな喫茶店まで、何でもありの雑多な空間です。

それぞれの店に独特の個性があって、整いすぎていないことが、かえって心地よく感じられます。

なにがあるのか分からない──でも、それが楽しい。目的を持たずにふらっと立ち寄って、迷い込むのが似合う場所です。


一方、みどり整体院があるのは、その反対側である南口です。

こちらは北口に比べて人通りも落ち着いていて、個人経営の飲食店やカフェ、小さな商店などが点在しています。

夕暮れどきには散歩をしている方も多く、街全体がゆるやかに呼吸しているような印象を受けます。

私は、この南口の“静けさ”と“あたたかさ”にとても惹かれました。

この場所で整体を行うことには、街の空気と自分のやりたいこととの間に、自然な一致を感じています。


なぜ中野だったのか(個人の視点)


私が初めて中野という街に住んだのは、19歳のときでした。

東京の端っこ、足立区という場所で生まれ育ち、それまで都心に出ることはほとんどありませんでした。

けれど、「自立して生きていく」という想いを胸に、私はこの街にやってきました。


正直に言えば、最初から中野にこだわっていたわけではありません。

当時の職場が新宿区にあったため、通勤の利便性を重視した結果、地図を眺めていて「そういえば中野って行ったことないな」と思ったことがきっかけでした。


でも、実際に暮らしてみると、駅周辺のにぎやかさや、少し路地に入ったときの穏やかな雰囲気が心地よくて、そして何より「ひとり暮らしでもなんとかやっていけそうだな」と思わせてくれるような、懐の深さを感じました。

特別派手なわけではないけれど、いろいろなものを受け入れてくれる街。気を張らずに生きられる感じがありました。


20代の全てを中野で過ごしました。

職を転々としながら生活を続け、将来のことに悩み、焦りながらも前に進もうとしていた時期でした。

整体という仕事に出会い、学び、やがて独立を考えるようになったのも、この中野にいた頃です。


最初のみどり整体院は、縁あって新宿区の落合という場所で始めることになりました。

中野区との境目にある街で、最寄り駅は東西線の落合駅。

中野区側でいちばん近いのは東中野駅です。

雰囲気は中野とほとんど変わらず、少し歩けば中野駅にも行ける安心感がありました。


整体院は「10年続けること」を最初から目標にしていました。

そしてその10年が見えてきたとき、私は“次のステップに進む”ために、一度閉院することを決めました。

今あらためて振り返ってみると、中野という街は私にとって「迷いながら、自分の軸を探す場所」だったように思います。

だからこそ、次に進もうとするとき、自然とこの街のことを思い出したのかもしれません。



一度離れて、また戻ってきた理由


みどり整体院を一度閉めたあと、私は中野を離れました。

東京どころか、日本そのものを離れ、フランスへ渡りました。


以前から興味のあったオステオパシーを学ぶこと、そして子どもの頃から「一度は海外で暮らしてみたい」と思っていた気持ちも重なり 、フランス行きを決めました。

現地では語学学校に通いながら、現実的な生活との折り合いを探る日々でした。

2年間向こうで学びながら生活し、いったん体制を整えるために帰国しました。


帰国後は、以前学んでいた整体学校に再び勤務することになります。

ここでおよそ3年間、雇われ整体師として働きました。

最初は久しぶりに整体ができる喜びもありましたし、再び現場に立てること自体がありがたく、日々を楽しんでいたのですが──働き続けるうちに、左肩の故障が悪化していきました。

当初は我慢しながら施術を続けていましたが、あるとき本当に限界を感じ、現場を離れる決意をしました。

更に新型コロナウィルスによるパンデミックが重なり、フランスは遠のきました。


その後しばらくは、地方で仕事をしながら暮らしました。

静かな田舎町での生活は、身体と心を整えるにはちょうどよく、そのあいだに自分自身のリハビリやストレッチ、生活習慣の見直しにもじっくり取り組みました。


そうした日々の中で、ふと湧いてきたのが、「自分はどこに帰りたいのか?」という問いでした。

いくつかの候補を思い浮かべながら、最後に出てきたのが「中野」でした。

若いころ、「自立して生きていこう」と踏み出したこの街で、整体という道に出会いました。

迷いながらも前を向いていたあの頃の自分に、一度だけ手を伸ばしてみたくなったのです。


現在私が暮らしているのは、中野区中央というエリアです。以前暮らしていた上高田とは少し離れた場所ですが、にぎやかすぎず、静かすぎず、ほどよい人の気配があって、街の空気がとても肌に合いました。

久しぶりに中野の街を歩いてみると、変わっていない風景や、人の気配にほっとするものがありました。

それは“戻ってきた”というより、“整えて、もう一度立ち上がる”という感覚に近かったのだと思います。


場所を選ぶということ、整体をするということ


整体をもう一度始めようと決めたとき、私は「どんな施術をするか」よりも先に、「どこでやるか」を考えていました。


それは、以前の経験からわかっていたことでもあります。

場所には、人の気配があり、流れる空気があり、積み重なった時間があります。

整体はただ技術を提供する仕事ではなく、そういったものすべてを含めて“場をつくる”ことでもあると思っています。

自分自身が落ち着いて立てる場所、無理せず呼吸ができる場所。

そうでなければ、誰かの身体にふれるということは、できないと思うのです。


いろいろな土地を見てきて、いろいろな自分と出会ってきて、最終的に「ここでやっていこう」と決めたのが中野でした。

若い頃に自立を目指してやってきたこの街で、もう一度自分の足で立ち直そうと決めた今、以前とはちがう意味で「場所を選ぶ」という感覚が自分の中にあります。


開業に向けて物件を探していたとき、たまたま見つけた現在の場所は、今の自分にしっくりくる空間でした。

実際にこの場所で再スタートを切ってみて、「やっぱりここでよかった」と思える瞬間が少しずつ増えてきています。

整体は、手を通じて“いまここ”の相手と向き合う仕事です。

それはきっと、自分がどんな場所に立っているかによっても変わってくるのだと思います。

だから私は、いま中野という場所に、もう一度“身を預ける”ような気持ちで整体をしています。

この街で、この空気の中で、必要な人と静かにつながっていけたら。そんな気持ちで、日々施術を行っています。


中野という街には、語りたくなる魅力がたくさんあります。

これから少しずつ、個人的な視点ではありますが、この街のことをブログで紹介していきたいと思っています。

ご興味を持っていただけたら、ぜひのぞいてみてください。

そして、中野を訪れてみてください。

私自身は、みどり整体院でいつでもお待ちしております。



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