「良い姿勢」は疲れる?——姿勢のウソとホント
- タナカユウジ

- 7月22日
- 読了時間: 4分
「姿勢を正しましょう」「背筋を伸ばして」「胸を張って歩こう」
そんな言葉を、誰もが一度は耳にしたことがあると思います。
学校でも家庭でも、社会に出てからも、私たちは「良い姿勢」であるべきだと言われ続けてきました。
でも、ちょっと待ってください。
“良い姿勢”って、本当に身体にとって「良い」のでしょうか?
今回は、そんな「姿勢」にまつわる素朴な疑問について、整体の視点からお話してみたいと思います。
「良い姿勢=正しい姿勢」という思い込み
「良い姿勢」と聞くと、多くの方が「背筋をピンと伸ばして、胸を張って、アゴを引いて、まっすぐ立つ」姿を思い浮かべます。
確かに、教科書に出てくるような理想的な姿勢かもしれません。
でも、その姿勢を一日中保とうとしたらどうなるでしょう?
多くの人が、こう言います。
「疲れる」「肩がこる」「腰が痛くなる」
そう、私たちが“良い”と信じている姿勢は、実は「頑張って作っている姿勢」になっていることが多いのです。
「良い姿勢は疲れる」——それって本当に正しい?
「良い姿勢って、疲れるものだと思ってました」
これは実際に、整体に来られた方からよく聞く言葉です。
でも、実はこの言葉自体が、すでにある“誤解”を含んでいると感じます。
本来、姿勢は「力を抜いていても整っている」状態であるはずです。
無理に引っ張ったり、固めたりしなくても、重力に逆らわず、楽に立っていられる。
そんな姿勢こそ、身体にとって自然で「良い」ものです。
つまり、「良い姿勢=疲れる」というのは、むしろ逆なんです。
“頑張らないと保てない姿勢”は、身体のどこかに緊張を生んでいます。
その緊張が長く続けば、肩こりや腰の重さ、呼吸の浅さなど、いろいろな形でサインが出てきます。
姿勢は“選べること”が大事
「猫背は悪い」「反り腰はよくない」
こうした姿勢に対する評価も、実はちょっと一面的すぎるかもしれません。
たとえば、猫背の状態が“悪”なのではなく、「猫背しかできない」「丸まったまま戻れない」という状態が問題なのです。
逆に、背筋を伸ばすことしかできず、リラックスして背中を丸めることができないという人も、それはそれで“固まり”がある状態です。
大切なのは、「その姿勢しかできない」ではなく、「いろんな姿勢を選べる自由さ」があること。
つまり、“柔軟性”と“戻れる力”です。
整体の現場でも、「姿勢が悪いんです」とおっしゃる方が、実は“戻る余裕”を失っているだけ、ということもよくあります。
整体で整う=姿勢が勝手に変わることもある
「整体で姿勢をよくしてください」
そう言われることもありますが、みどり整体院では無理に姿勢を「矯正」するわけではありません。
骨をボキッと鳴らしたり、グイグイ押したりするよりも、身体の力みや緊張をゆるめ、自然なバランスに戻していくことを大切にしています。
結果として、呼吸が深くなったり、重心が安定したり、関節の動きがなめらかになったりすることで、立ち姿や歩き方が「勝手に変わっていた」というケースは少なくありません。
つまり、姿勢は“作る”ものではなく、“育っていく”もの。身体が整えば、姿勢も整っていく。それが私の考える整体のアプローチです。
おわりに——「正す」より「ほどく」
私たちは、「ちゃんとしなきゃ」「正さなきゃ」と思うあまり、無意識に身体にも力を入れてしまいがちです。
でも、姿勢は決して“努力”だけで作られるものではありません。
むしろ「力を抜けるか」「戻れるか」「ゆだねられるか」——そんな、柔らかい感覚の方が、姿勢を自然に支えてくれるのかもしれません。
整体では、「正す」のではなく、「ほどく」ことを大切にしています。
あなたの身体が、本来持っているバランスや自由さを、もう一度取り戻していけるように。
そんな視点で、日々お手伝いをしています。
※ 本記事は医療行為を目的としたものではありません。記載された内容は一例であり、すべての方に同様の変化を保証するものではありません。体調や症状に不安がある場合は、専門の医療機関にご相談ください。




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