整体って“治す”の?という疑問から始める
- タナカユウジ

- 7月17日
- 読了時間: 6分
「整体って、治してくれるところですよね?」
初めていらした方から、こんな言葉をいただくことがあります。
たしかに、そう思われるのも無理はありません。
街中の看板や広告には、「肩こり・腰痛改善」「効果バツグン」などの言葉が踊り、まるで医療のようなイメージを抱かせる表現が少なくないからです。
しかし、整体は医療ではありません。
(※よろしかったらこちらの記事もご覧ください 整体という“医療ではない道”の意味を、あらためて考える)
国家資格を持つ整骨院や病院とは、できることも、法律上の扱いも、まったく異なるものです。
もちろん、身体を整えることで、結果的に楽になることはあります。
でも、それは「治す」こととは少し違います。
“治す”という言葉のイメージ
「治す」という言葉には、どこか“壊れたものを元通りにする”ようなニュアンスがあります。
たとえば、風邪をひいたときに薬を飲んで熱が下がれば、「治った」と感じますし、骨が折れてギプスで固定され、元通りにくっつけば、「治った」と言えます。
これは、原因がはっきりしていて、それに対する“明確な処置”がある場合の話です。
では、「なんとなく不調」「朝からだるい」「同じところが何度もつらくなる」そういった状態は、“治す”ことで解決するのでしょうか?
家の例え:修理とメンテナンスの違い
こんなふうに考えてみてください。
家の雨どいが壊れて水が漏れていたら、それは“修理”が必要です。一方で、床が少しきしむ、ドアの閉まりが悪い、といった現象は、構造がゆがんでいたり、長年の使い方のクセで起きている“ズレ”かもしれません。
整体が向き合っているのは、まさに後者のような部分です。
壊れたものを治すのではなく、「なんか調子悪い」「なんか引っかかる」そんな違和感の“背景”にある、身体の使い方や、クセを見つめ直していくこと。
それが私たちのしている整体です。
整体と整骨(接骨院)の違い
整体と整骨院(接骨院)を混同されることも多いのですが、実際には大きな違いがあります。
整骨院は「柔道整復師」という国家資格を持った方が運営しており、骨折・脱臼・捻挫などに対して、応急的な処置やリハビリを行うことができます。保険適用の制度もあり、診断書を必要とする場合や、スポーツ外傷・交通事故の対応など、より“医療寄り”の役割を持っています。
一方、整体は民間資格や経験をもとにした手技療法であり、診断や治療行為、投薬などは行いません。その代わりに、ゆがみや姿勢、筋肉の緊張、呼吸の浅さ、力の入り方や抜け方といった“身体の使い方”に注目しながら、その人自身が整っていけるようにサポートしていく立場にあります。
家でたとえると…
ここでもう一度、家にたとえてみましょう。
整骨院や病院は、いわば「修理業者」です。柱が折れた、配管が破損した、といったトラブルに対応します。
それに対して、整体は「家のゆがみを整える大工」や「住まいのメンテナンス職人」のような存在。ドアがきしむ、床が傾く、空気の通りが悪い…といった問題に対して、家そのものの構造や使い方を見直しながら、より快適に暮らせる状態へと整えていく。
つまり、「今すぐ修理が必要な“壊れた状態”」ではなく、「なんとなく使いづらくなっている」「このままだと不調が出そう」といった状態に向き合うのが整体の役割なのです。
みどり整体院で行っていること
みどり整体院では、「ゆがみ」や「違和感」といった目に見えにくい身体の変化に、やさしく丁寧にアプローチしています。
具体的には、次のような視点から全身を見ていきます:
身体の左右差や傾き(例:片側にばかり重心がかかっている)
呼吸の深さや通り方(胸で浅くなっている/腹式がしづらい など)
力がうまく抜けない、または抜けすぎてフニャッとする箇所
動きづらさ、引っかかり感、関節の連動性
これらは、筋肉や関節の問題に限らず、「身体の使い方」や「無意識のクセ」「緊張グセ」などが背景にあることも多くあります。
私たちは、こうした身体の“使い方のズレ”を一つずつほどいていきながら、クライアントさんが自分の身体に「気づける状態」を取り戻せるようサポートしています。
例えるなら「楽器の調律」
身体は、楽器のようなものです。力みやゆがみがあると、音が濁ったり、出にくくなったりすることがあります。整体の時間は、その楽器をやさしく調律していくようなもの。
誰かが“直す”のではなく、その人自身が本来持っているリズムや響きを思い出せるように、ほんの少し、背中を押していく。
そんなスタンスで施術をおこなっています。
整体を受ける意味とは?
整体は「治す場所」ではありません。では、なぜ整体を受ける意味があるのでしょうか?
それは、「自分の身体の声を聞きなおす時間」だからです。
現代社会では、忙しさや情報の多さから、自分の身体の状態に気づきにくくなっています。本当は疲れているのに動き続けてしまったり、違和感があるのに我慢してやり過ごしていたり。
整体を受けることで、自分では気づかなかった緊張や偏りに「気づく」ことができます。
そして、それが「整う」「ラクになる」「自然な呼吸が戻る」といった変化につながっていくのです。
例えるなら「曇ったメガネを拭く時間」
整体の時間は、誰かに何かを“治してもらう”のではなく、自分の感覚を取り戻す、静かな時間でもあります。
ちょうど、曇ったメガネを拭いて視界がクリアになるように、身体と心の曇りが少しずつ晴れていく。
その結果、今の自分に必要なペースや過ごし方に気づいたり、もっと丁寧に暮らしたいという気持ちが芽生えたりすることもあります。
整体を受けることは、「治す」のではなく「取り戻す」。
それは、自分自身の力で、自分らしさを思い出していくプロセスなのです。
来院を迷っている方へ
「整体って、なんとなくハードルが高い」「自分が行ってもいいのか分からない」
そう感じている方も、いらっしゃるかもしれません。
でも、実際にいらっしゃる方の多くは、
「なんとなく最近疲れやすい」「身体がうまく動いていない気がする」
そんな小さな違和感をきっかけに、ご来院くださっています。
整体は、“不調がひどくなってから”だけのものではありません。
むしろ、「あれ?」と思ったタイミングこそが、身体に耳を傾けるチャンスです。
もしあなたが、
・自分の身体ともう一度向き合いたい
・日々の緊張をリセットしたい
・今の状態を少しでも楽にしたい
そう思われたなら、どうぞお気軽にご相談ください。
「みどり整体院」は、そんなあなたの“気づき”と“回復”のきっかけとなる場所でありたいと願っています。
※本記事は、日本の法制度における整体の位置づけを説明する目的で執筆されています。施術による体感や変化には個人差があり、医学的診断・治療を代替するものではありません。必要に応じて医療機関の受診をおすすめする場合があります。




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