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『スマホ脳』を読んで考えた|“止まれない時代”と身体の緊張

  • 執筆者の写真: タナカユウジ
    タナカユウジ
  • 12 分前
  • 読了時間: 6分

この記事は、数年前に書いた『スマホ脳』を読んだ感想の記事を、現在の私の視点でリライトしたものです。

当時は「スマホ依存」や「集中力低下」を中心に読んでいましたが、今読み返すと、「人の身体が休まりにくくなっている時代」を扱った本にも感じました。


最近は、「休んでいるのに疲れが抜けない」「何もしていないのに頭が落ち着かない」という相談を受けることがあります。

その背景には、スマホやSNSによって、常に情報へ反応する状態が続いていることも関係しているように思います。


人間の脳はデジタル時代にまだ慣れていない

スウェーデンの精神科医、アンデシュ・ハンセン先生の著書『スマホ脳』では、「人間の脳は現代のデジタル環境にまだ適応しきれていない」という視点が紹介されています。


本の中で印象的だったのが、「人類の歴史を24時間に例える話」です。

狩猟採集生活がほぼ丸1日を占め、農耕生活は最後の数十分、産業革命は数秒。

そしてスマホやインターネット中心の生活は、最後の1秒ほどだと語られています。

つまり、人間の脳は長い時間を自然環境の変化へ反応することに使ってきた一方で、「通知が鳴り続ける生活」にはまだ慣れていないということです。


本の中では、スマホが脳の報酬系を刺激することにも触れられています。

スマホでは、「何か新しい情報があるかもしれない」という期待が繰り返し刺激されます。その時に脳内でドーパミンが分泌され、人は次の情報を探し続けやすくなるそうです。

特にSNSやショート動画は、「次に何が出るかわからない」という構造そのものが、人を引き込みやすく作られていると説明されています。


また、『スマホ脳』では、人間の脳は基本的にマルチタスクに向いていないとも書かれています。

勉強中や仕事中に何度も通知を確認すると、脳はそのたびに集中を切り替えることになります。

一見効率的に見えても、実際には疲労が蓄積しやすくなるそうです。


スマホ疲れは首や肩だけの問題ではない

整体の現場でも、スマホやPCを長時間使う方ほど、「頭が休まらない」「考え続けてしまう」と話されることがあります。

身体の状態としては、首肩の緊張、呼吸の浅さ、姿勢の固定感が強い方が多い印象です。


スマホ疲れについては、以前の記事「スマホ疲れで首や肩がつらいときに|身体のバランスを見直すヒント」でも整理しています。

そこでも触れていますが、スマホによる負担は、首や肩だけでなく、目、呼吸、睡眠、情報疲れにもつながりやすいものです。


スマホを見ているとき、人は画面に集中します。

画面が小さいほど視線は一点に集まりやすく、首は前に出やすくなります。

その姿勢が長く続くと、首肩まわりだけでなく、背中や胸まわりの動きにも影響しやすくなります。

スマホ首は首だけの問題ではなく、胸郭、肩甲骨、背中、骨盤など、身体全体の連動と関係していることがあります。


座り続けることも、身体を止まりやすくする

スマホやPCの問題は、情報刺激だけではありません。同じ姿勢が続きやすいことも大きな要素です。

本来、人間の身体は、歩いたり、立ったり、座ったり、姿勢を変えたりしながら使われるものです。

しかし、スマホやPCを使う時間が長くなると、視線も姿勢も固定されやすくなります。

動いていないようで、首、肩、背中、腰まわりには細かな負担が積み重なります。

座っている時間が長い方には、「座っているだけなのに疲れる人へ|身体は“止まり続ける”のが苦手です」も参考になると思います。


身体は止まっているだけでも、同じ場所に負担が集まり続けることがあります。

『スマホ脳』では、脳がスマホから受ける刺激について多く語られていますが、整体の視点で見ると、その刺激を受けている身体の姿勢も無視できません。

脳は情報に反応し続け、身体は同じ姿勢で固まり続ける。

この両方が重なることで、疲れが抜けにくい感覚につながることがあります。


疲れている時ほどスマホを見てしまう理由

厄介なのは、疲れている時ほどスマホを見てしまいやすいことです。


少し休もうと思って動画を見る。

気分転換のつもりでSNSを見る。

考えごとから離れたいのに、別の情報を探してしまう。


こうした行動は珍しくありません。

ただ、スマホを見ることで本当に休めているかというと、そこは少し分けて考える必要があります。

身体は横になっていても、脳は情報を処理し続けています。

新しい投稿、短い動画、通知、ニュースなどが続くと、休んでいるつもりでも反応は止まりにくくなります。


以前書いた「休んでも疲れが抜けないのはなぜ?身体が回復しにくくなる原因とは」でも書きましたが、回復には「何かを足す」よりも、「刺激を減らす」ことが必要になる場合があります。


スマホを完全に悪者にする必要はありません。

仕事にも生活にも必要ですし、便利な道具であることは間違いありません。

ただ、疲れている時にさらに情報を入れ続けると、脳も身体も切り替わるタイミングを失いやすくなります。


スマホをやめるより、距離感を見直す

私は、「スマホを完全にやめるべき」とは思っていません。

現代の生活でスマホを使わないことは現実的ではありませんし、便利な道具を無理に否定する必要もないと思います。

大事なのは、スマホとの距離感を自分で決めることです。

たとえば、寝る前のスマホ時間を少し短くする、通知設定を見直す、作業中はスマホを視界から外す、長時間座っていたら一度立つ。

こうした小さな調整だけでも、脳と身体の反応は変わってくることがあります。


『スマホ脳』では、運動が脳を守る対抗策として紹介されています。

特別な運動ではなく、歩く、軽く走る、身体を動かすといった基本的な習慣が、脳の働きやストレス反応を整える助けになるそうです。

整体の視点でも、軽く歩く、姿勢を変える、首や肩だけでなく全身を動かすことは大切です。

スマホで固まりやすい身体には、「画面から離れる時間」と「身体を動かす時間」の両方が必要なのだと思います。


私自身も、朝に軽く身体を動かした日は、頭の中のまとまりが良くなる感覚があります。

逆に、長時間スマホやPCを見続けた日は、身体だけでなく思考そのものが疲れている感覚があります。


まとめ

『スマホ脳』は、単なるスマホ依存の本というより、「現代人の脳と身体がどう疲れていくのか」を考えさせられる一冊でした。

スマホ自体が悪いわけではありません。

ただ、常に情報へ反応し続ける生活は、脳だけでなく身体にも負担を積み重ねやすくなります。

スマホを見続けることで首や肩が固まり、座り続けることで身体の動きが減り、情報刺激によって脳が休まりにくくなる。

こうした小さな積み重ねが、「休んでいるのに疲れが抜けない」という感覚につながることもあります。

だからこそ今は、「頑張る」だけではなく、「反応し続けない時間」を意識的に作ることも大事なのだと思います。


※本記事は書籍『スマホ脳』を参考にしつつ、整体師としての視点や日常の実感を交えて構成しています。特定の変化や結果を保証するものではありません。


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