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姿勢を守る背中の筋肉~【脊柱起立筋】にやさしいセルフケア~

  • 執筆者の写真: タナカユウジ
    タナカユウジ
  • 4月29日
  • 読了時間: 4分



▶はじめに

座る、立つ、歩く… この一見何気ない動作を、そっと支えてくれている筋肉があります。 それが背中を走る「脊柱起立筋」です。

脊柱起立筋は、日常生活を支える"縁の下の力持ち"であり、姿勢維持に不可欠な存在です。本日はこの筋肉にフォーカスし、仕組みからセルフケア方法まで、詳しく解説していきます。


▶脊柱起立筋とは?

脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)は、背骨(脊柱)に沿って縦に走る筋肉群の総称です。主に次の3つの筋肉で構成されています。


  • 棘筋(きょくきん)

  • 腸肋筋(ちょうろっきん)

  • 最長筋(さいちょうきん)



これらは背骨を中心に、肋骨や骨盤に付着しており、主に体幹を伸展(反らす)させたり、側屈(横に曲げる)させたりする働きを持ちます。


主な機能:

  • 直立姿勢の保持

  • 背中を反らせる運動

  • 身体を横に倒す動作の補助

  • 荷重負担の分散とサポート


日常では、座る、立つ、歩く、重い荷物を持つなど、多くの基本動作で脊柱起立筋が働いています。


なぜ脊柱起立筋が重要なのか?

脊柱起立筋がしっかり機能していると、背骨が安定し、効率的に身体を支えることができます。これにより次のメリットが得られます。


  • 良好な姿勢の維持

  • 腰部への負担軽減

  • バランス感覚の向上

  • 疲労感や筋緊張の予防


逆に、脊柱起立筋が過緊張または機能低下を起こすと、姿勢の崩れや腰痛、肩こり、さらには股関節や膝への影響が出ることもあります。

特に現代人は、デスクワークやスマートフォンの使用時間が長いため、慢性的な脊柱起立筋への負荷が問題になりやすいのです。


脊柱起立筋が疲れるとどうなる?

長時間のデスクワーク、スマホ操作、立ち仕事などで、脊柱起立筋は持続的な緊張状態にさらされます。

その結果:


  • 背中や腰に「じわじわ」とした鈍い疲労感が生じる

  • 上半身の姿勢が丸まり、猫背気味になる

  • 呼吸が浅くなりやすい(胸郭の動きの制限)

  • 腰部の違和感や痛みを引き起こすリスクが高まる


慢性的な負担が積み重なると、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症といった腰部疾患のリスクも増すため、早めのケアが重要です。


自分でできるチェック方法



【壁立ちチェック】

  1. 壁に背中をつけて直立します。

  2. 頭、肩甲骨、骨盤、かかとを壁につけるように意識します。

  3. 腰(腰椎と壁の間)のすき間に手を差し込んでみます。

【目安】

  • 拳1個分程度のすき間が適切です。

  • 拳より大きなすき間がある場合:反り腰(脊柱起立筋の緊張過多)

  • 拳が入らない場合:骨盤後傾・猫背(脊柱起立筋の機能低下)


このセルフチェックにより、今のご自身の背中と腰の状態を簡単に把握することができます。


キャットカウストレッチ(猫&牛のポーズ)



脊柱起立筋のコンディションを整えるうえで、最もおすすめのセルフケアの一つが「キャットカウストレッチ」です。


【やり方】

  1. 両手と両膝を床につき、四つ這いの姿勢をとります。

  2. 息を吐きながら背中を丸め、頭を下げます(キャットポーズ)。

  3. 息を吸いながら背中を反らし、顔を少し上げます(カウポーズ)。


【ポイント】

  • 動作は呼吸と連動させ、リズムよく行います。

  • 動きは大きくなくてもOK。気持ちよく動かすことが大切です。

  • 1日5〜10回、無理のない範囲で続けましょう。


キャットカウストレッチは、脊柱起立筋だけでなく、背骨周辺全体の柔軟性向上にも役立ちます。


脊柱起立筋を労わるためにできること

  • 長時間同じ姿勢を避ける(1時間に1回は立ち上がる)

  • 正しい座り方を意識する(骨盤を立て、背骨を自然なS字に保つ)

  • 体幹筋トレーニングを取り入れる(プランク等)

  • 適度なウォーキングやストレッチを習慣化する

  • 睡眠時のマットレスや枕の見直しも有効

日々の小さな意識が、脊柱起立筋の健康を守る大きな力になります。


おわりに

脊柱起立筋は、毎日の姿勢を陰で支える頼もしい存在です。

負担がかかりやすい現代だからこそ、 「頑張り続けている背中の筋肉に、時々ご褒美を」 そんな気持ちで、ぜひ日々のセルフケアに取り組んでみてください。

正しい知識と小さな習慣が、身体の未来をつくります。

今日から、背中に優しい一歩を踏み出してみましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の医療的判断を行うものではありません。ご自身の体調に不安がある場合は、医療機関にご相談ください。


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