理由もなく不安になるのはなぜ?身体と脳から考える不安との付き合い方

更新日:9月15日
理由は思い当たらないのに、なぜか不安になる。
仕事で大きな失敗をしたわけでも、人間関係で問題が起きたわけでもない。
それなのに落ち着かず、悪いことばかり考えてしまう。
そんなとき、「考えすぎなのだから気にしなければいい」と思っても、簡単には切り替えられないことがあります。
そして不安が強いとき、自分の身体を観察してみると、肩に力が入っていたり、奥歯を噛みしめていたり、呼吸がいつもより浅くなっていたりすることがあります。
不安は心の中だけで起きているものではありません。
考えや感情と身体の反応は切り離されているわけではなく、お互いに影響し合っています。
この記事では、「理由もなく不安になる」と感じるときに何が起きているのかを、心理面だけに原因を求めず、脳や身体の反応も含めて考えていきます。
理由もなく不安になるのはおかしいこと?
「理由もなく不安になる」と、自分でもその感覚を説明できないことがあります。
明日の仕事が心配だから不安になる。
人間関係で悩んでいるから落ち着かない。
このように原因がはっきりしていれば、自分でも理解しやすいものです。
ところが実際には、「特に何も起きていないのに落ち着かない」「悪いことが起こりそうな気がする」「考えなくていいことまで考えてしまう」と感じることもあります。
不安は必ずしも、目の前にある明確な危険だけに反応して生まれるものではありません。
人には、これから起こることを予測する働きがあります。
「失敗したらどうしよう」
「体調が悪くなったらどうしよう」
「相手に嫌われているのではないか」
まだ起きていないことでも、頭の中ではさまざまな可能性を考えることができます。
この能力があるからこそ、私たちは危険を避けたり、失敗に備えたりできます。
つまり、不安そのものは人にとって不要なものではありません。
ただ、その予測が繰り返されると、実際には何も起きていない時間にも、心や身体が休みにくくなることがあります。
不安になると身体にも変化が起こる
不安を感じているときは、考えだけではなく身体にもさまざまな反応が現れることがあります。
たとえば、肩や首に力が入る、呼吸が浅く感じる、胸が落ち着かない、胃のあたりが重く感じる、手に汗をかくなどです。
こうした反応の現れ方や程度には個人差があります。
大切なのは、「不安だから身体がおかしくなった」と単純に決めつけることではありません。
反対に、身体の緊張や疲労感が続いているときに、その身体感覚が気になって不安が強くなることもあります。
たとえば、夜になって考え事をしているうちに呼吸が浅く感じる。
すると、「どうしてこんなに息苦しく感じるのだろう」と気になり、そのことを考えるほど身体へ意識が向いていく。
こうして考えと身体感覚がお互いに影響し合うことがあります。
ストレスと身体の緊張がどのように関係するのかについては、「ストレスと身体の緊張の関係とは」でも詳しく整理しています。
「身体が緊張している=悪い」とは限らない
身体に力が入っていると、「早く力を抜かなければ」と考えたくなるかもしれません。
しかし、緊張することそのものは身体に備わった自然な反応でもあります。
危険を感じたり、失敗できない場面に立ったりすれば、身体に力が入ることがあります。
初めて会う人の前で緊張する。
大切な仕事の前に肩へ力が入る。
突然大きな音がして身体が身構える。
こうした反応まで、すべてなくす必要はありません。
問題は、緊張することそのものよりも、緊張する必要がない時間にも身体が休みにくくなっていることです。
仕事が終わって家に帰っても肩が上がったまま。
ベッドに入っても頭の中では明日のことを考えている。
スマートフォンを閉じても、次々と別のことが気になってしまう。
そのような状態では、「何もしていないのに落ち着かない」と感じることがあります。
不安を無理に追い払う前に、今の身体がどのくらい緊張しているのかを見ることも、一つの手がかりになります。
脳は「まだ起きていないこと」も考えられる
人の脳には、周囲の状況を確認し、危険や問題に備える働きがあります。
不安に関係する脳の働きとして扁桃体や前頭前野などが説明されることがありますが、実際の不安は一つの脳領域だけで決まる単純な仕組みではありません。
記憶、経験、身体感覚、睡眠、ストレス、そのとき置かれている環境など、さまざまな要素が関係します。
そのため、「扁桃体が反応したから不安になる」と一本の線で考えるより、脳と身体が周囲の状況に応じて反応していると捉えた方が分かりやすいでしょう。
特に厄介なのは、人間が実際に起きていることだけでなく、まだ起きていない未来についても考えられることです。
一つ心配事が浮かぶ。
その答えを出そうと考える。
すると別の心配事が浮かぶ。
いつの間にか、最初に何を心配していたのか分からないほど考え続けている。
こうした「考え続けてしまう」状態は、身体が休みにくくなる感覚とも重なることがあります。
思考が止まりにくいときの身体との関係については、「考えすぎる人ほど疲れやすい?頭と身体が休まらなくなる理由」も参考になります。
「理由がない」のではなく、理由を一つに決められないこともある
理由もなく不安になると、「なぜこんな気持ちになるのだろう」と原因探しを始めることがあります。
もちろん、原因を考えることが役立つ場合もあります。
ただし、不安には必ず一つの明確な原因があるとは限りません。
仕事が少し忙しかった。
睡眠が足りなかった。
人間関係で小さな緊張が続いていた。
SNSやニュースを長時間見ていた。
身体が疲れていた。
こうした一つひとつは大きな問題に感じなくても、複数の要素が重なっていることがあります。
「理由もなく不安になる」というより、「これが原因だ、と一つに決められない状態」と考えた方が近い場合もあるでしょう。
だからこそ、原因を一つ見つけて消そうとするだけでなく、最近の生活全体を少し広く振り返ることも大切です。
不安になったとき、まず身体で確認したいこと
不安が強くなったときに、無理に「考えないようにしよう」とすると、かえってそのことばかり気になる場合があります。
そこで、考えを止めることではなく、今の身体へ注意を戻してみます。
肩がいつもより上がっていないか。
奥歯を強く噛みしめていないか。
呼吸を止めていないか。
手や足に必要以上の力が入っていないか。
椅子に座っているなら、足の裏が床についているか。
ここで大切なのは、「全部直さなければ」と考えないことです。
まず気づくだけでも構いません。
「あ、今は肩に力が入っているな」
「息を止めて考えていたな」
そのように現在の状態を確認します。
身体感覚へ注意を向けることは、不安を消すための特効薬ではありません。
しかし、頭の中で未来のことを考え続けているときに、「今、自分はどうしているのか」へ注意を戻すきっかけにはなります。
呼吸は「深く吸う」より、まず今の状態を見る
不安や緊張を感じたとき、「深呼吸をしよう」と考える人は多いと思います。
ただ、呼吸が浅いと感じているときに、無理に大きく吸おうとすると、かえって呼吸を意識しすぎてしまうことがあります。
まずは「深く吸わなければ」と頑張るのではなく、息を止めていないか、吐く息が短くなっていないかなど、今の呼吸を確認してみます。
呼吸は心と身体の状態を知る手がかりの一つです。
上手に呼吸することを目標にする必要はありません。
呼吸についてもう少し詳しく知りたい方は、「そのひと呼吸で、心と身体がほどけていく」で、呼吸と身体の緊張について紹介しています。
不安をなくそうとするより、付き合い方を考える
「不安にならない人になりたい」と思うことがあるかもしれません。
しかし、不安は危険を予測したり、慎重に行動したりするためにも必要な感情です。
完全になくすことを目標にすると、不安を感じた瞬間に「また不安になってしまった」と、さらに自分を気にすることがあります。
それよりも、「今は少し不安が強くなっている」と気づき、何が起きているのかを確認する。
考えが止まらないのか。
身体に力が入っているのか。
最近、睡眠や休息が足りているか。
一人で抱えている心配事がないか。
そうして、不安そのものではなく、自分の現在の状態を見ていきます。
「ちゃんとしていないと落ち着かない」「気を抜くことが苦手」という感覚が強い方は、「“ちゃんとしていないと不安”になる人の身体反応とは」も今回の記事と近いテーマです。
整体で「不安を治す」わけではありません
ここは、みどり整体院として明確にしておきたいところです。
整体は、不安障害などの精神疾患を診断したり治療したりするものではありません。
強い不安が続いている、眠れない状態が続く、仕事や学校へ行けない、外出することが難しいなど、日常生活への影響が大きくなっている場合は、医療機関や専門機関への相談を検討してください。
一方で、不安やストレスを感じているとき、自分の身体がどのような状態になっているのかに気づくことはできます。
肩や首に力が入り続けている。
呼吸を止めるように仕事をしている。
長時間同じ姿勢で考え続けている。
疲れているのに休むタイミングを逃している。
みどり整体院では、不安そのものを治療するのではなく、こうした身体の状態や日常での使い方を確認することを大切にしています。
心の問題だから心だけを見る。
身体の問題だから身体だけを見る。
そのように完全に切り分けるのではなく、自分の状態を広い視点から見直してみる。
それが、みどり整体院で大切にしている身体との向き合い方です。
まとめ
理由もなく不安になると、「自分は考えすぎなのではないか」「もっと気持ちを強く持たなければ」と考えてしまうことがあります。
しかし、不安には未来を予測して自分を守るという側面があり、身体にも緊張や呼吸の変化など、さまざまな反応が現れることがあります。
大切なのは、不安をすぐになくそうとすることではありません。
まず、今どんなことを考えているのか。
身体のどこに力が入っているのか。
呼吸はどうなっているのか。
最近きちんと休めているのか。
そうした現在の状態を確認することです。
そして、不安の理由を無理に一つへ決める必要もありません。
心配事、疲労、睡眠、生活環境、身体の緊張など、いくつもの要素が重なっている場合もあります。
理由が分からないからこそ、心だけに答えを求めず、身体や生活も含めて少し広い視点から自分の状態を見てみる。
それが、不安との付き合い方を考える一つの入口になると思います。
※本記事は、不安と身体の反応について一般的な情報を紹介するもので、診断や治療を目的としたものではありません。不安が強く長期間続く場合、日常生活に支障がある場合、身体症状について心配がある場合などは、医療機関や専門機関へご相談ください。
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