お尻の筋肉は身体の土台?殿筋群と梨状筋のはたらきと整え方

更新日:9月11日
立っているときや歩いているとき、「なんとなく腰が重い」「片足に体重をかけることが多い」と感じることはありませんか。
腰まわりに違和感があると、つい腰そのものへ意識が向きがちです。しかし、身体を支えているのは腰だけではありません。
特にお尻にある殿筋群は、骨盤や股関節の動きに関わり、立つ・歩く・階段を上るといった日常動作を支えています。
長時間座っていることが多かったり、片側へ体重をかける姿勢が続いたりすると、お尻の筋肉の使われ方にも偏りが生まれることがあります。
すると、腰や太ももなど別の場所がその動きを補おうとして、身体全体のバランスにも影響することがあります。
今回は、お尻をつくる代表的な筋肉である大殿筋・中殿筋・小殿筋、そして骨盤の深い位置にある梨状筋について、それぞれの働きと身体の整え方を見ていきます。
大殿筋は身体を前へ進める大きな筋肉

大殿筋は、お尻の表面を広く覆っている大きな筋肉です。
主に股関節を後ろへ伸ばす「伸展」や、脚を外側へ向ける「外旋」などに関わっています。
椅子から立ち上がる、歩く、階段を上るといった動作では、大殿筋が身体を支えながら前へ進む力を生み出します。
ところが、デスクワークなどで座っている時間が長くなると、日常生活の中で大殿筋を大きく使う機会が少なくなることがあります。
大切なのは、「大殿筋が弱いから鍛えればいい」と単純に考えないことです。
身体は複数の筋肉や関節が連動して動いています。
お尻が十分に使われにくい状態では、腰まわりや太ももの裏側などが動きを補っている場合もあります。
腰の重さや姿勢が気になるときも、腰だけを見るのではなく、股関節やお尻を含めて身体全体の使い方を確認することが大切です。
中殿筋・小殿筋は骨盤を横から支える

大殿筋のさらに奥や外側には、中殿筋と小殿筋があります。
画像を見ると、中殿筋は骨盤の外側を広く覆い、その深い位置に小殿筋があることが分かります。
これらの筋肉は、脚を横へ開く股関節の外転などに関わるだけでなく、歩行中に骨盤を安定させる役割も担っています。
歩いているときには、必ず一瞬、片脚だけで身体を支える時間があります。
そのとき骨盤が大きく傾かないように支えている筋肉の一つが中殿筋です。
普段何気なく歩いているだけでも、お尻の筋肉は身体を左右から支え続けているのです。
一方で、片脚へ体重をかけて立つことが多い、いつも同じ側で荷物を持つ、座っている時間が長いといった生活が続けば、左右のお尻の使い方にも偏りが生まれることがあります。
すると、腰だけでなく股関節や膝などにも負担が偏りやすくなります。
身体の一部分だけではなく、全身のつながりを見ることが大切なのはこのためです。
中殿筋は骨盤の外側から太ももに向かってつながる筋肉です。
小殿筋はその深い位置にあり、より細かい調整に関わります。
主な働きは股関節の外転と骨盤の安定です。
歩いているとき、片足で立つ瞬間に骨盤が傾かずに保たれるのは、この筋肉の働きによるものです。
この働きが弱くなると、歩くときに身体が左右に揺れやすくなります。
結果として腰や膝に負担がかかりやすくなることがあります。
梨状筋は骨盤の深い位置で股関節を支える

お尻のさらに深い位置には、梨状筋という筋肉があります。
梨状筋は仙骨付近から大腿骨へつながり、主に股関節の外旋などに関わっています。
表面から見えにくい小さな筋肉ですが、股関節を動かしたり安定させたりするうえで無視できない存在です。
梨状筋について知っておきたいのが、坐骨神経との位置関係です。
坐骨神経は梨状筋の近くを通っており、その位置関係には個人差もあります。
そのため、お尻から脚にかけて痛みやしびれなどがある場合に、すべてを「梨状筋が硬いから」と決めつけることはできません。
強い痛みやしびれ、感覚の異常などが続く場合には、自己判断で強く揉んだり伸ばしたりせず、医療機関へ相談することも大切です。
一方、日常的な身体の使い方という視点では、長時間座り続けることや股関節をあまり動かさない生活によって、お尻の深い部分へ負担が偏ることがあります。
ときどき立ち上がって歩いたり、無理のない範囲で股関節を動かしたりするだけでも、同じ姿勢を長時間続けないための工夫になります。
まずは鍛えるより「どう使っているか」に気づく
お尻の筋肉というと、スクワットやヒップリフトなどの筋力トレーニングを思い浮かべる方も多いでしょう。
もちろん、適度に身体を動かすことは大切です。ただし、腰や股関節に違和感がある状態で、いきなり負荷の強い運動を始めればよいとは限りません。
まず確認したいのは、普段どのように身体を使っているかです。
立っているとき、いつも同じ脚へ体重をかけていないか。
椅子に座ると、左右どちらかへ身体が傾いていないか。
歩くとき、股関節を動かしながら自然に脚を運べているか。
こうした日常の動きを観察すると、筋力だけでは見えにくい身体の使い方の偏りに気づくことがあります。
特に長時間座ることが多い方は、お尻だけではなく股関節の前側にも目を向けてみましょう。
股関節の前側にある腸腰筋と、腰まわりの違和感や座り方との関係については、
でも詳しく紹介しています。
お尻を鍛えることだけを考えるのではなく、股関節の前後がどのように使われているかを見ることで、身体全体の動きを捉えやすくなります。
腰だけでなく股関節から身体を見る
お尻の筋肉と腰は、別々に働いているわけではありません。
骨盤を介してつながり、立つ・座る・歩くといった動作の中で、それぞれが役割を分担しています。
例えば股関節の動きが小さくなれば、その分を腰まわりの動きで補うことがあります。
反対に、お尻の筋肉へ負担が集まっている場合も、単純に「筋力が足りない」と考えるのではなく、なぜその部分が頑張っているのかを見る必要があります。
腰痛についても、腰だけに原因を求めるのではなく、股関節や骨盤、脚などを含めた身体全体のつながりから考えることが大切です。
「肩や腰がつらい原因は一つじゃない|身体のつながりから整える方法」では、腰だけに注目しない身体の見方について詳しく紹介しています。
整体でも、違和感のある場所だけを確認するのではなく、骨盤や股関節、脚、背中などを含めて身体全体の動きを見ていきます。
「どの筋肉が悪いのか」を一つに決めるより、「どこが動きにくく、どこがその動きを補っているのか」という視点で見ることで、普段の身体の使い方も見えやすくなります。
骨盤の位置だけでなく日常の座り方を見る
お尻の筋肉は骨盤についているため、骨盤との関係も切り離せません。
ただし、「骨盤が歪んでいるからお尻の筋肉がうまく働かない」と単純に考える必要はありません。
長時間の座り姿勢や片足重心、いつも同じ方向へ身体を傾ける習慣など、日常の身体の使い方が積み重なれば、左右で筋肉の使われ方が変わることはあります。
そのため、骨盤だけを正しい位置へ固定しようとするより、座っているときにどこへ体重が乗っているか、立ったときに片側へ寄っていないか、歩いたときに左右で感覚が大きく違わないかなどを確認するほうが実用的です。
骨盤と姿勢、座り方、重心、股関節などの関係については、
でも詳しく紹介しています。
身体には多少の左右差があるのが自然です。左右を完全に同じにすることを目指すのではなく、同じ場所ばかりへ負担を集めないことを意識してみましょう。
お尻は身体を支える土台の一つ
大殿筋・中殿筋・小殿筋・梨状筋は、それぞれ異なる役割を持ちながら、股関節や骨盤まわりの動きを支えています。
大殿筋は立ち上がりや歩行などで股関節を動かす力に関わり、中殿筋・小殿筋は片脚で身体を支えるときの骨盤の安定に関わります。
そして梨状筋は、骨盤の深い位置から股関節の動きを支えています。
腰が重い、座っているとお尻がこわばる、片足へ体重をかけることが多いと感じるときは、腰だけではなく、お尻や股関節が普段どのように使われているかにも目を向けてみてください。
「鍛えなければ」と急ぐ必要はありません。
立ち方、座り方、歩き方を少し観察してみる。長く座ったあとは立ち上がって身体を動かしてみる。無理のない範囲で股関節を動かし、左右の感覚を確かめてみる。
筋肉を強くすることだけを目的にするのではなく、立ち方や座り方、歩き方など、普段のお尻や股関節の使われ方を確認することから始めてみてください。
まとめ
お尻の筋肉は、見た目や筋力だけではなく、立つ・歩く・座るといった日常動作を支える重要な筋肉です。
大殿筋、中殿筋、小殿筋、梨状筋は、それぞれ違う役割を持ちながら股関節や骨盤の動きに関わっています。
一方で、腰まわりの違和感や姿勢の変化を、お尻の筋肉だけの問題として考えることはできません。
股関節の前側にある筋肉、骨盤、背骨、脚、普段の座り方や立ち方なども含めて身体を見ることで、「なぜここへ負担が集まっているのか」を考えやすくなります。
筋肉を強くすることだけを目的にするのではなく、まず自分が普段どのように身体を使っているのかを知ることから始めてみてください。
※本記事は、筋肉や身体の動きについて一般的な情報を紹介するものであり、診断や治療を目的としたものではありません。腰やお尻、脚などに強い痛みやしびれ、筋力低下、感覚の異常などがある場合は、自己判断で強い運動やストレッチを続けず、必要に応じて医療機関へご相談ください。
ソクラやウーパー達のLINEスタンプも作っています。
日常のちょっとしたやり取りや、ゆるい会話のお供にどうぞ。
LINEスタンプ一覧はこちら
イラスト素材や写真も公開しています。
記事の理解や資料作りに、ぜひご活用ください。
Pixabay
イラストAC




コメント