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歩数を記録するだけでは続かない?身体を動かす習慣の作り方

執筆者の写真: タナカユウジ
タナカユウジ
24 時間前
読了時間: 8分

スマートフォンを見ると、今日の歩数が表示されている。


昨日は8,000歩だったのに、今日は3,000歩。数字を見ると「もう少し歩こう」と思う日もあれば、「今日は全然歩けなかった」と少し残念に感じる日もあります。


歩数を記録することは、自分がどのくらい動いているのかを知る分かりやすい方法です。

実際、歩数計や活動量計を使った研究では、歩数を確認することが身体活動を増やすきっかけになる可能性も示されています。


ただし、記録を続けていることと、身体を動かす習慣そのものが定着することは同じではありません。


今回は、歩数という数字をどう使えば身体を動かす習慣につなげやすいのか、研究で分かっている範囲も踏まえて考えていきます。



歩数を記録することには意味がある


まず、「歩数なんて記録しても意味がない」という話ではありません。


2020年に発表されたメタ解析では、歩数計、活動量計、スマートフォンなどを使って歩数を確認する介入について70件のランダム化比較試験が検討され、そのうち57試験、16,355人のデータがメタ解析に含まれました。


結果を見ると、歩数を記録・確認する介入を受けたグループでは、対照群と比べて4か月以内では1日平均約1,100歩、6か月では約1,050歩多く歩いていました。

1年後でも差はみられましたが、長期間になるほど結果は一定ではありませんでした。


つまり、歩数を見ることは「今日はどのくらい動いたか」を知り、身体活動を増やすきっかけとして役立つ可能性があります。


大切なのは、歩数という数字を成績表にするのではなく、自分の生活を確認する材料として使うことです。



「何歩だったか」だけでは生活は見えてこない


同じ3,000歩の日でも、その中身は人によって違います。


デスクワークが続いてほとんど席を立たなかった日もあれば、仕事で疲れて早めに休んだ日、電車や車で長く移動していた日もあります。


歩数だけを見ると、これらはすべて「3,000歩」です。しかし身体の使い方は同じではありません。


そこで数字を見たときに、「少なかったから明日は倍歩こう」と考える前に、その日の生活を少し振り返ってみます。


長く座っていたのか。

移動する機会がなかったのか。

疲れて意識的に休んだのか。

普段より歩いたのにスマートフォンを持っていなかった時間が長かったのか。


数字に生活の背景を重ねると、歩数は単なる点数ではなく、自分の行動を知る手がかりになります。



一つの目標歩数を全員の正解にしない


歩数について考えるとき、「毎日1万歩」のような分かりやすい数字を目標にしたくなることがあります。


目標を持つこと自体が悪いわけではありません。ただし、同じ歩数をすべての人、すべての日に当てはめる必要はありません。


普段2,000歩程度の人と8,000歩程度の人では、同じ1万歩でも負担が違います。

仕事で一日中歩いた翌日と、ほとんど外へ出なかった休日でも身体の状態は変わります。


いきなり理想の数字へ合わせるより、まず普段の歩数を何日か見てみる。

そのうえで、「もう少し動けそうな日は少し増やしてみる」くらいの考え方でも十分です。


身体活動を増やすことは、毎日同じ数字を達成する競技ではありません。



歩けなかった日を失敗にすると続きにくい


習慣づくりで起きやすいのが、最初に頑張りすぎることです。


「今週から毎日8,000歩」

「雨でも必ず歩く」

「昨日少なかったから今日は取り返す」


このように決めると、最初の数日は続いても、仕事が忙しい日や疲れている日が来たときに計画が崩れます。


すると、一日できなかっただけで「また続かなかった」と考えてしまうことがあります。


習慣が途切れることと、習慣づくりそのものが失敗することは別です。


三日坊主について身体の緊張や反動という視点から整理した、

でも紹介していますが、最初から負担を大きくしすぎると、続けること自体が重荷になることがあります。


昨日できなかったとしても、今日は駅まで少し歩く。そんな再開ができれば十分です。



記録に「続ける工夫」を加える


2022年のメタ解析では、身体活動を自分で記録する方法だけの場合と、そこへ目標設定や支援など別の要素を加えた場合が比較されています。


85研究、12,057人を対象にした結果では、自己記録に別の働きかけを組み合わせた方が、介入終了時に1日平均約900歩、その後の追跡時にも約400歩多いという差がみられました。


ただし、どんな機能を追加しても同じように効果が高まるわけではありません。

研究では、設定した目標や人からの支援など、介入方法によって違いがあることも示されています。


ここから「歩数を記録するだけでは意味がない」と結論づけることはできません。


むしろ、記録は入口として使い、その数字から次の行動を決めることが習慣づくりには役立つと考えられます。



日常の中に歩く場所をつくる


身体を動かす習慣というと、散歩やウォーキングのために30分、1時間と時間を確保しなければならないように感じるかもしれません。


しかし、毎日新しい予定を追加すると、それ自体が続けにくさにつながることがあります。


一駅手前で降りる必要まではなくても、昼食を買いに少し歩く。

エレベーターだけではなく階段を使える日は使う。

近所への買い物を徒歩にする。仕

事の休憩で数分だけ外へ出る。


すでにある生活の中へ動く場面を入れる方が、特別な運動時間を毎日作るより続けやすい場合があります。


運動する時間がなかなか取れない方は、

も参考にしてください。


「運動を始める」というより、「いつもの生活で少し動く場面を増やす」と考えると、取り組みやすくなります。



歩数が少ない日は「座っている時間」も見る


歩数の記録には、もう一つ便利な使い方があります。


歩数が極端に少なかった日に、「今日は運動不足だった」とだけ考えるのではなく、長時間同じ姿勢が続いていなかったかを確認してみることです。


パソコン作業に集中して、昼食以外ほとんど椅子から立たなかった。休日に動画を見続けて気づいたら夕方だった。

こうした日は、歩数の少なさよりも「身体を動かす機会そのものが少なかった」ことに気づけます。


その場合、翌日に長距離を歩いて帳尻を合わせる必要はありません。


一度立つ、飲み物を取りに行く、少し歩くなど、小さく姿勢を切り替える回数を増やす方法もあります。


長時間座ったままの身体については、

で詳しく解説しています。



アプリを使えば自然に習慣になるわけではない


2026年には、日本の労働者793人を対象に、身体活動と心理状態をモニターするスマートフォンアプリを使ったランダム化比較試験も報告されています。


このアプリには活動の記録だけでなく、フィードバック、報酬、他者との比較など複数の行動変容の仕組みが含まれていました。


3か月時点では心理的苦痛に小さな差がみられましたが、その差は6か月では持続しませんでした。

また、自己申告による身体活動量については、対照群との明確な差は確認されませんでした。


この研究だけで「アプリは役に立たない」とは言えません。研究の主目的も歩数習慣そのものではありません。


ただ、便利な記録機能やさまざまな仕掛けがあれば、自動的に身体活動が習慣になるわけではないことを考える材料にはなります。



歩数ではなく「続けられた形」を残す


身体を動かす習慣を作るとき、毎日の最高歩数を更新する必要はありません。


見るものを「何歩歩けたか」だけにすると、少ない日は悪い日、多い日は良い日になりがちです。


それよりも、


通勤で少し歩けた。

昼休みに席を離れられた。

疲れていたので短い散歩にした。

今日は休み、翌日にまた歩いた。


こうした「続けられた形」に目を向けると、記録の意味が変わります。


歩数は身体を評価する点数ではありません。


自分の生活の中で、どこなら身体を動かせそうかを探すための数字として使う。

その方が、長く付き合いやすい記録になります。



身体を動かす習慣は数字だけで作らない


歩数を記録することには、自分の活動量を知るという大きな利点があります。

研究でも、歩数のモニタリングによって身体活動が増える可能性は示されています。


一方で、記録した数字を見るだけで、すべての人の運動習慣が自然に定着するわけではありません。


大切なのは、今日何歩だったかを見たあとです。


少なかった理由を振り返る。無理なく増やせる場面を探す。できない日があっても、次の日からまた始める。


歩数を「達成しなければならない数字」ではなく、生活と身体の使い方を見直すための目印にしてみてください。




参考研究






※この記事は身体活動や歩行習慣について一般的な情報を紹介するものです。持病がある方、歩行時に強い痛みや息苦しさ、めまいなどがある方は、無理に活動量を増やさず医療機関へご相談ください。



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